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添乗員ブログ

2011年03月24日

とっておきの話「フルカ山岳蒸気鉄道」・・・小浦 一博

〔本稿は会員誌『旅なかま』2011年3月号に掲載されたものです〕

レアルプ駅の機関車
[写真左:レアルプ駅の機関庫]
スイスには氷河急行、ベルニナ急行など、風光明美で有名な列車はたくさんありますが、私のお薦めは風光明媚で楽しくレトロな風情もあるフルカ山岳蒸気鉄道です。この鉄道の路線は、もともと氷河急行のオリジナルルートで、冬の間、積雪のせいで通行することができなかったレアルプからオーバーヴァルトの間に、1982年、全長15.4kmの新フルカトンネルが造られ冬の間も運行できるようになりましたが、それ以来、氷河急行の名前の由来にもなったローヌ氷河を列車から眺めることができなくなってしまい、それを残念に思った人々のボランティアによって、使われなくなった旧線を少しずつ復活させ、開通しました。機関車はベトナムに払い下げられていたオリジナルのレトロな機関車を買い戻して運行しています。

この鉄道のベースとなる町のひとつにアンデルマットがあります。サンゴッタルト、フルカ、ススーテンなどの峠が交差する交通の要衝にあり、シーズン中は多くの人々が乗降する氷河急行の主要な停車駅にもなっています。町は小さいながら、ツーリングを楽しむバイカー達で賑わい、背後のゲムシュトックの展望台からはベルナーオーバーランドやヴァリスの山々を眺めることができます。歩いて30分ほどのロイス川には“あまりの激流の為、悪魔をだまして橋を架けてもらった”と言う伝説が残る「悪魔の橋」があり、迫力ある川の流れが眺められます。また、ポストバスで20分程サンゴッタルト峠を上がれば、峠の最高点に小さな湖、その畔には「サンゴッタルト博物館」があり、峠越えの厳しさ、峠の交通の発展などに関する展示や、「悪魔の橋」の伝説をわかりやすく紹介するフィルムが上映されています。

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[写真右:フルカ駅。プラットフォームのカフェで休憩!]
アンデルマットからフルカ峠に向かって車で10分程走ると、峠の麓にレアルプの小さな駅が見てきます。駅舎には小さいながらもカフェや土産売店があり、出発を待つ乗客で賑わっています。また、少し離れた機関車の車庫に行けば、作業員がこれから出発する機関車の出発順備をしているところを見ることもできます。機関車がもくもくと煙を吐きながらプラットホームに入って来ると、さっきまで売店やカフェにいた乗客が集まって来て、機関車をバックに記念撮影を楽しみ、出発時間が来ると、機関車は汽笛を鳴らし、ラックレイルが敷かれた急な線路を小川に沿って上って行きます。シュテッフェンバッハの鉄橋を渡り、色とりどりの高山植物や草を食む牛、峠越えの国道を走る車などを眺めながら、列車は緑の牧場の中をゆっくりと進み、トンネルをいくつも抜け、途中のティーフェンバッハ駅で機関車の給水休憩、峠越えの長いトンネルのすぐ手前にあるフルカ駅では20分程の休憩時間中、列車を降りて機関士さんと写真を撮ったり、出店のカフェでサンドイッチ、焼きソーセージ、ビール、ワインなどの軽食を楽しんだりした後、長いトンネルに入り峠の反対側に抜けると、いよいよ右手にローヌ氷河が見えてきます。最近は地球温暖化で氷河はだいぶ後退してしまっていますが、緑に囲まれた山の斜面を青白い氷河が流れ落ちるさまは、とても美しく素晴らしい眺めです。そして、ローヌ氷河や周りの山々をジグザクに走る国道を眺めながら急な峠を下っていくと、谷底にグレッチの可愛らしい駅舎が見えてきます。
[写真左:グレッチ駅にて機関車をバックに。背後にローヌ氷河とフルカ峠]
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この列車はとても人気があり、夏のシーズン中、1日1~2本の運行で乗車定員も少ない為、氷河急行などと違い、まだ日本人グループの利用が少ないことも魅力です。とても和気あいあいとして楽しい雰囲気の列車なので、鉄道が好きな人はもちろん、誰もが楽しめる列車だと思います。但し、ひとつだけ気を付けなくてはならないことがあります。それはトンネルを通過する時は必ず窓をしっかり閉めて下さい。そうしないと火の粉交じりの黒い煙が車内に入って来て、喉は咳きこみ、顔は煤だらけに、大変なことになってしまうからです!

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