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添乗員による最新の添乗報告

添乗員ブログ

2010年07月15日

秋の夜長に 旅とシネマ ・・・増居由子

「秋の旅行を考えていらっしゃる皆様、中欧・東欧方面はいかがですか?旅のイメージを膨らませるべく大好きな映画をご紹介します。かなり個人的な趣味である事はご容赦くださいませ。

ポーランドへ行くなら…
旅の行き先が決まったら、その地を舞台とした映画を見ると理解がより深まることでしょう。一本目は1956年のポーランド映画「地下水道」。最近も「カティンの森」を発表したアンジェイ・ワイダ監督の作品です。物語は第二次大戦末期の1944年、ナチスドイツ占領下のポーランド。ロンドンにあった亡命政府はソ連の進軍による解放が近いと判断し、一斉蜂起を指示。しかし、この「ワルシャワ蜂起」はレジスタンス達に20万もの犠牲を出す壊滅的打撃を出し、彼らは地下水道に逃げ込む。映画は、全編地下水道の中で、出口のない、あっても出られない息つまる状況を描いています。傷ついた男を助けて必死に出口を探す女はやっと明かりに導かれて出口をみつけるが、そこは…。
ここに描かれている状況は1956年当時の、ある意味出口のないポーランドの姿であるという暗示だったのではないでしょうか。重い話かもしれませんが、ポーランドを旅するのに避けられない歴史を知ると、人々の不屈の精神が創り上げた、あまりにも美しい現在のワルシャワの姿に心打たれるのです。旧市街は、戦後市民達により敷石のひとつひとつまで完璧に復元されたのです。ポーランドには他にも古都クラクフ、グダンスクやチェンストホーバなど素晴らしい遺産がたくさんあります。秋には、名産の宝石のような、琥珀色に染まる郷愁の景色。出口のない、琥珀の中に閉じ込められている虫にも「ポーランドの物語」を感じます。
不死鳥のように蘇ったワルシャワ旧市街 ベルリン旧東ドイツ地区のウンター・デン・リンデンの秋
[写真左:不死鳥のように蘇ったワルシャワ旧市街] [写真右:ベルリン旧東ドイツ地区のウンター・デン・リンデンの秋]

旧東ドイツの悲喜劇
さて、もう一本の映画も東西の壁がなくなる時代を背景にした2003年のドイツ映画「グッバイ・レーニン」。青年アレックスの母は10年前に夫が西側に亡命してから祖国東ドイツにますます忠誠心を抱いています。その建国40周年を祝う夜、あろうことか反社会主義のデモに息子が参加している姿を見て母親は心臓発作を起こして倒れ、昏睡状態になってしまいます。8ヶ月後奇跡的に目を覚ました母親に再びショックを与えない為、アレックスはまわりを統一前の状況に戻し、世の中がまだ「東ドイツ」であるような工作をします。母親の好きな、もう街には売っていないピクルスのびんを探すためにゴミ箱をあさったり、姉の子供のオムツカバーをビニールでつくったり大奔走。しかし歩けるようになった母親がフラフラと家を出るとそこには衝撃的な光景が。コカコーラの広告がビルの壁にあり、そしてレーニンの像が台座から外されヘリコプターにつり下げられユラユラ運ばれていく―これを見た母親は…。
この作品はドイツで評判が大変よかったとの事。壁崩壊後は、この映画のように急激な変化への戸惑いもあったでしょうし、統一されて20年以上たってみると、良いことだけでなく東西の経済格差や失業問題など人々の鬱屈した思いもこの映画のヒットにつながったのでしょう。
壁崩壊後の混乱と激動のドイツを知る事ができ、なおかつ時代に翻弄されながらも母親を必死に守ろうとする青年の思いに心が温かくなる作品です。

二つの映画をご紹介しました。いかがでしたか?
「歴史」は最も魅力的な「物語」です。いろいろな「物語」を楽しめる「中欧・東欧」の旅とシネマをぜひお薦めします!

○作品メモ○
「地下水道」 1956年/ポーランド/監督:アンジェイ・ワイダ
「グッバイ、レーニン!」 2003年/ドイツ/監督:ヴォルフガング・ベッカー

★★★★★関連ツアー(2010年度分は終了しました。参考にご覧下さい)
郷愁のポーランド 11日間
クラシック中欧3カ国紀行 11日間
ドイツゲーテ街道から東部ドイツへ 10日間
【美の旅】ベルリン・ドレスデンの美術と古都を訪ねて 9日間