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耳より情報

2013年10月29日

2013年10月29日 横山大観展に行ってきました

美術館には結構頻繁に行くものの、日本画の展覧会にはこれまであまり行く機会がなかった私。

今回の横山大観展は、なかなか大きな回顧展なようなので休日を利用して行ってきました!!

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今回の大観展のテーマは良き師・良き友。

良き師とは東京美術学校(現・東京藝術大学)にて教鞭をとっていた岡倉天心のこと。この天心との出会いがその後の大観の人生に大きな影響を与えます。

一方良き友とは、天心の死後、大観と一緒に日本美術院を再興した今村紫紅、小杉未醒、小川芋銭、冨田渓仙。大観は彼らとともに日本画界の一時代を築きます。

大観展はこの良き師・良き友との交流を背景に大観の画家人生をなぞっていくように展示が進みますが、最初に驚いたのは大観作品の量!

特に『第一章 良き師との出会い:大観と天心』では『作者 横山大観』が展示スペースを埋め尽くします。続く第二章でも大観作品と先に挙げた4人の良き友の作品ばかりが展示され、濃密な空間を作り出していました。

 さて、作品のことに話題を移します。まず紹介したいのが、展覧会の目玉、チラシにも掲載されている『秋色』。六曲一双の屏風に2匹の鹿と蔦の紅葉が描かれています。注目すべきは描かれた蔦の鮮やかさ。紅葉した赤と緑の色彩のコントラストの美しさが見る者の目を引きます。ただ、私がぜひ見て欲しいと思ったのが赤と緑の間の色描写です。葉緑体が減少し、色彩が失われてきた薄い黄土色は、全体の背景の色とも同化し、鮮やかな中にも大観らしい落ち着きをこの作品に与えているように思えます。また葉が緑から黄土色に、黄土色から赤に変化する様子も葉一枚一枚絶妙に描かれており、線描写に頼るそれまでの日本画から一線を画した大観作品の真髄をうかがい知ることができます。また、作品中に描かれている鹿は秋の季語ともなる動物で、秋の季節に聞こえる鳴き声は、しばしば和歌のなかで雌を慕う雄の表現として親しまれてきました。この作品はそんな雌雄2匹の鹿が寄り添って描かれており、古典的で風流な世界観を描き出しているのがわかります。

 当時は『朦朧体』との蔑称で批判の対象となった作品、『菜の花歌意』。朦朧体とはその名のとおり、線を排して彩色を主とする描法。作品中に描かれる菜の花は、一切明確に描かれているものがありません。しかし、そこには確かに菜の花の群生があり、菜の花が溶け込んだ大気を描こうとした大観の画家としての意識は時代の一歩も二歩も先を行くものだったといえるでしょう。また、この作品は上方唄『菜の花』を題材に描いたものと言われています。『菜の花』は、若い遊女の恋文のように仕立てた唄で、恋しい人に早く会いに来てほしいという焦がれる気持ちを表しており、相手を蝶に、自分を菜の花にたとえて『菜の花にとまれ蝶の朝』と詠んでいます。月夜の中、ひらひらと舞う蝶と、じっとたたずむ菜の花。朦朧体によって儚く描かれた菜の花からは遊女の切なさがあふれだし、見るものの心締め付けます。

大観展は横浜美術展にて11月24日(日)まで。
11月1日以降の開催期間後期はいくつかの展示替えで大観の名作『夜桜』も公開されます。ぜひ大観の世界をお楽しみください。

投稿:朝日インタラクティブ