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機関誌「旅なかま」掲載記事など最新のトレンドがわかるブログ

旅のアクセント

2013年10月29日

世界文化遺産としての富士山観光の魅力 財団法人ふじよしだ観光振興サービス 広報担当 小山田 俊司

〔本稿は会員誌『旅なかま 国内版』10月号に掲載されたものです〕
ご新規のお客様には見本誌を無料でお送り致しますので、こちらのフォームからお申込みください。その際、「旅なかま国内版10月号希望」とご記入下さい。なお、部数に限りがございますので、お早めにお申込みください。

新倉山浅間公園より富士を望む 富士吉田口登山道起点

財団法人ふじよしだ観光振興サービス 広報担当 小山田 俊司

富士の偉大さに気づく瞬間

富士吉田市には『ここにはいつも富士がある』という市民愛唱歌がある。富士の厳しくも美しい自然とともに歩み、そして栄えてきた富士吉田市。その魅力を歌詞に込めた愛唱歌が、今も市民に広く親しまれている。この楽曲のタイトルのように、多くの富士吉田市民にとって、また私もそうなのだが、日々の生活の端々で富士山は常に身近な存在であり、麓に暮らす人々の生活の一部となっているのだ。
小学校時代、図工の時間といえば、みんな富士山の風景画を描いたものだし、高校時代は毎年麓から五合目まで、往復42キロという富士山マラソンが開催された。麓の学校であれば校歌に富士山は必ず登場するし、常に富士山は私たちの生活の内側にある、そんな感じなのだ。
いうなれば、家族あるいは恋人のようにいつも身近であり、そのことは当たり前なのだけれどもいざ離れてしまうととても寂しく気になってしかたがない、そんな存在なのでないかと思う。市外から来た人に「富士山を毎日見ることができていいですね」などといわれるが、そんなときあらためて富士山の偉大さ、存在感に気づかされる。

地元の意識変化がもたらすもの

中の茶屋

2013年6月22日、カンボジアで行われた世界遺産委員会において、富士山(山梨、静岡県)を世界文化遺産に登録することが決定した。世界遺産として認められたということは、とりもなおさず地元、そして日本の宝から”世界の宝”へとさらに上のステージに立ったということであり、その価値を世界中の人々と共有できると認められたということだ。
地元住民からすれば、まるで自分の家族がオリンピックで金メダルを取ったかのような、そんな感覚の出来事だった。住民に与えたインパクトは強烈だった。これまであまり注意を向けてこなかった文化的な側面や、富士山の芸術的分野における価値を、今回の登録をきっかけに意識し、そして保存、伝承していく、そんな雰囲気が富士吉田市全体を包み込んでいったように思う。「ここにはいつも富士がある」を超えて「未来にも・・・・ここにはいつも富士がある」という認識。もちろん、世界遺産登録に関係なく今まで通り富士山を思い、大切にするという、これまでとなんら変わらない価値観の人もいる。いずれにせよ、今回の出来事は、富士山のあり方についてポジティブな方向へと意識が変わってゆく、大きなターニングポイントであったことは間違いない。
世界遺産登録後、富士吉田市では『おもてな市 ふじよしだ』という新しいキャッチコピーを作成した。このお宝について地元からしっかりと魅力を発信し、またお越しになるお客様にはおもてなしの心をもって応対するという、大切な意味が込められている。
たとえば、その構成資産である富士山北口の登山道「吉田口登山道」の道中に、歴史解説や明治・大正時代当時の写真を掲載した案内板を設置した。注目されがちな五合目より上の地域だけではなく、富士山信仰文化の歴史が色濃い麓の登山道についてももっと興味をもっていただきたい、そうした思いがこの案内看板設置につながった。
また、廃墟となって残っていた山小屋やお茶屋跡についても建て直し、景観保全の観点から世界遺産にふさわしい環境づくりを行った。何代にも渡り営業していたにもかかわらず休業中だった「中の茶屋」については、このほど富士吉田市が購入。登山道の基点としてリニューアルオープンさせた。富士吉田のご当地グルメ「吉田のうどん」の提供や、富士山についての案内を業務とし、今では登山者や観光客の憩いの場となっている。

吉田のうどん

今後の施策に求められるもの

富士山北麓の周辺地域には年間約1000万人の観光客が訪れる日本有数の観光地。ただ、多くは富士山五合目や河口湖その他周辺の観光施設を目的地として訪れるケースがほとんどであり、広がりについてはまだこれから。今後は他の北麓地域へも足を伸ばしていただくため、どのような施策が必要か、しっかり考えていきたいと思っている。
富士吉田の主な観光資源をご紹介させていただく。
第一は富士山世界文化遺産の構成資産となっている「北口本宮冨士浅間神社」。富士山を信仰の対象とする「富士講」といわれる人びとの聖地で、長い歴史を持つ神社だ。樹齢数百年の木々に囲まれ荘厳な雰囲気で、特に杉と檜に囲まれた長い参道はパワースポットといわれるほどの独特な空気が流れている。この神社裏手には「吉田口登山道」の起点があって、静岡県内を含めた富士山の登山道のなかでも唯一、麓から山頂まで一気に登山できる登山道であり、富士山をパーフェクト・・・・・・に登頂したいという人たちで賑わっている。
次は富士山を一年通じて一望できるスポット「新倉山浅間公園」。富士山と向かい合う新倉山の中腹に絶景ポイントの公園があり、五重塔と桜を絶妙なバランスで望むことができる。特に春には満開の桜に富士山が重なり合い、まさに「ザ・ジャパン!」といった景色。山の中腹から望むので遮るものが何もなく、左右対称にすっきりと裾を引く富士山を堪能できる。

吉田のうどん

観光イベントの魅力

魅力的な観光スポットの多い富士吉田市だが、四季折々に開催される行事もおすすめ。日本の三大奇祭の一つ「吉田の火祭り」は富士山の山終(やまじまい)を告げる祭りで、毎年8月26、27日、多くの観光客を集め盛大に行われる。町の中心地に約2キロにわたって高さ3メートルのタイマツが80本ほど等間隔で並び、祭の間中、火が燈される。その様子は火の海のように街一帯が燃え上がるようで、夏の終わりの一大風物詩となっている。
春には富士山麓を中心に自生する桜の一種「マメザクラ(通称:フジザクラ)」を鑑賞するイベント「ふじざくら祭り」が行われる。フジザクラはソメイヨシノなどと違い、小さいが淡いピンク色で可憐な花をつける。その姿はいかにも上品で「乙女桜」とも呼ばれる。富士山麓の1,100メートル地点「中の茶屋」エリアに群生地が広がり、1000本以上が一斉に咲き誇る光景は圧巻だ。
富士山北麓、富士吉田市には、前述のような富士山の歴史や自然に関係する施設、イベントが数多くある。世界遺産に登録されて以来、これらは大いに注目を集めるようになった。しかし地元に住む者として望むことはもっと多くのお客様に観賞していただきたい、そして富士山とそれに付随するさまざまな魅力を発見、満喫していただきたいということだ。富士山をたくさんの人に”日本の心”の象徴として認識していただけたら…。そうなればこれ以上の幸せはない。
いつでも富士山はどっしりと構えつつ、周辺観光地は拒むことなくすべての人々を優しく迎えてくれる。たくさんの人がこの素敵な世界遺産に触れることを期待してやまない。

フジザクラまつり

写真提供全て:財団法人ふじよしだ観光振興サービス

◆関連ツアー◆
[首都圏発] No.1677 ホテルマウント富士泊「ダイヤモンド富士」 2日間
[首都圏発] No.1679 富士山一周「登録文化遺産」の旅 2日間

投稿:朝日インタラクティブ