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機関誌「旅なかま」掲載記事など最新のトレンドがわかるブログ

旅のアクセント

2013年12月17日

旅するもの書き江藤詩文の世界食べある記vol.7 inベルギー

〔本稿は会員誌『旅なかま』2013年12月号に掲載されたものです〕
ご新規のお客様には見本誌を無料でお送り致しますので、こちらのフォームからお申込みください。その際、「旅なかま12月号希望」とご記入下さい。なお、部数に限りがございますので、お早めにお申込みください。

旅するもの書き江藤詩文の世界食べある記vol.7 inベルギー

あちちっ! 揚げたての香ばしいきつね色を注意深くつまみ上げ、カリリッ! サクサクした歯ごたえが楽しい外側までは、みんな同じ。さて、続いては。ほくほくふわりと崩れるか、ねっとりと舌に絡まるか、それとも……。
ベルギーといえば、いわずと知れた美食王国です。約120ものブルワリーが生み出す、800種類以上ものバリエーションを誇るベルギービール。「ピエール・マルコリーニ」や「ゴディバ」「ノイハウス」など、世界に名を馳せるチョコレート。バターが焼ける狂おしいにおいをまき散らすワッフル。春の訪れを告げるホワイトアスパラガス。大きな鉄鍋に気前よくどっさり盛られたムール貝。ベルギーの味覚に思いを馳せると、枚挙にいとまがありません。

ワッフルにチョコレートも百花繚乱!

フリットにかける半端ない思い

そんなわけで「フリット」と呼ばれるフライドポテトなんて、軽く見ていました。たかが揚げたじゃがいも。しょせん付け合わせや、ストリートスナックに過ぎないだろうと。しかしフリットといえば、ベルギー人にとって主食。味にうるさい彼らが、手をかけないわけがなかったのです。
それは観光地にあるレストランでのことです。「ひとりなので、フリットは少なめにお願いします」と言うと、注文を取っていたウェイターの目が光りました。「フリットはお嫌いですか」。おおげさに肩をすくめて「しかし、ベルギーのフリットは、あなたがこれまで食べてきたものとは別ものです」。世にも悲しげな表情と声色。
このレストランで使っているのは、男爵いもに近い、色が白っぽくて、あっさりした甘みがあり、ほくほくした食感が特徴のじゃがいも。これを水からゆでるのではなく蒸し、たてに長く太めに切ります。揚げ油は、植物性のものに牛脂を混ぜてコクと香りを加え、140度の低温と200度の高温で2度揚げ。仕上げに岩塩をほんの少し、高い位置からぱらりと振りかけて完成しました。
どのレストランを訪ねても、フリットへの情熱は、日本人が米にかけるそれに引けを取りません。じゃがいもは、黄色くて甘みが強いもの、ねっとりと舌触りが重たいもの、しっとりとクセのないものなどいろいろ。それをどう保存するか。新しいものか、冬を越したものか。揚げ油には、ラードなど動物性のものを用いるシェフもいれば、植物油にハーブやスパイスで風味をつけることも。それぞれに主張があります。

注文ごとに揚げたてのアツアツをどうぞ 飲み比べが楽しいベルギービール

やめられない、とまらない魔の味

共通しているのは、生のじゃがいもを使うこと。「アメリカのハンバーガーチェーン店が提供するような冷凍したじゃがいもは、旨味が抜けたでんぷんの固まりに過ぎません」。そんなせりふを何度聞いたことでしょうか。そしてもうひとつの共通点は、注文ごとに揚げ、アツアツを提供すること。舌を焼きそうなほど熱いそれをハフハフとほおばり、ビールで洗い流す至福といったら……! それは幸せな体験ですが、同時にちょっぴり憂鬱な気分。なぜって、出会ったすべてのシェフが口を揃えて言うのです。「フリットは非常にカロリーが高く、食べ過ぎると必ずや太る」と。
あぁ、これまで素通りしてきたフライドポテトの奥深さに、気づいてしまいました。もう後戻りはできません。帰国しても、気がつくとあの味を探してしまうのでした。

プロフィール 江藤詩文

取材協力:フィンエアー ベルギー観光局ワロン・ブリュッセル
撮影:江藤 詩文

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投稿:朝日インタラクティブ