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機関誌「旅なかま」掲載記事など最新のトレンドがわかるブログ

旅のアクセント

2014年11月18日

旅なかま国内版10月号 新春を祝う 日本の味紀行

〔本稿は会員誌『旅なかま・国内版』2014年10月号に掲載されたものです〕 ご新規のお客様には見本誌を無料でお送り致しますので、こちらの資料請求からお申込みください。その際、「旅なかま・国内版10月号希望」とご記入ください。なお、部数に限りがございますので、お早めにお申込みください。

北海道・冬の海(イメージ)の写真 新春を祝う日本の味紀行 新年を迎える祝いの正月料理には、土地それぞれの文化や伝統が色濃く残っています。郷土色ゆたかな各地のおせち料理に、旅の楽しみも広がります。
北海道 珍しい「くじら汁」

お正月の風習は地域によって様々ありますが中でも北海道は独特です。 おせち料理はお正月の1日~3日に食べるのが一般的ですが、北海道・東北では大晦日におせちと年越しソバを食べて、お正月はお雑煮やお寿司を食べるのです。なぜ? と思うかもしれませんが、本来おせち料理は新年を迎える料理として大晦日の夜に食べるのが一般的だったようです。いつしかそれがお客様をもてなす料理としてお正月に食べられるものに変わっていきましたが、江戸の後期におせち料理が伝わった北海道では昔の風習がそのまま残ったといわれています。 そんな北海道の主に日本海側の地域でお正月料理として食されていたのが『くじら汁(別名けんちん汁)』です。簡単に説明すると塩くじら(塩漬けしたくじらの脂身)と山菜・野菜を煮込んだもの。東北地方でも似た料理はありますが、北海道の場合は一般的な味噌の味付けではなく塩と醤油がベースとなります。この風習は松前藩の時代のニシン漁が関係しているといわれています。その時代、「クジラかくるとニシンが岸に寄る」といわれ、くじらは漁の神として崇められていました。「恵比寿」ともいわれていたくじらはニシンの漁期には食べず、その年の豊漁を願う意味でもお正月に食べる風習が根付いたといわれています。独特の食感と旨みが濃厚で、ほのかに潮の香りが漂い、体の芯から温まる優しい味わいを醸し出すクジラ汁、歴史の浅い北海道においても貴重な食文化なのかもしれません。

北海道・冬の雄阿寒岳(イメージ)写真
岩手・一関地方 「もち料理」
もち料理の一例写真 提供と協力:世嬉の一酒造

お正月といえばお餅ですが、岩手県一関地方では、独特のおもち料理の文化が、江戸時代から続いてきました。 この地方では、お正月は勿論ですが、お節句など季節の節目や冠婚葬祭など人生の節目、農作業の節目など、色々な機会に「ハレの食事」としておもち料理が食べられるのです。また、この地方の豊かな農産物を背景に、おもちにからめる「具」の種類も多く、あんこ、ゴマ、ずんだなどは勿論のこと、じゅうね(えごま)、生姜、沼えび、ふすべなど、その数三百種ともいわれる多様さです。 さらに、「もち本膳の儀礼」というものもあり、これは、冠婚葬祭などや大切なお客様を迎えるときの最高のもてなし料理とされます。お膳の形式やお餅の出し方の決まりがある外、食べる場合も「おとりもち」と言われる司会者の進行の元に、決まった食べ方をしていきます。儀式としてのもち料理ですから、食べる順序、お餅のお代わりのエチケット、お餅を食べ終わったあとのルールなどもあるとのこと。今はかなり略式で行われるのですが、本式には、こうした「もち本膳」のあとに、座を改めて無礼講の宴会が行われてきました。

伊良湖岬灯台の写真
恋路ヶ浜の写真
愛知・渥美地方「大つもごの大ごちそう」

愛知県の先端で風光明媚な景勝地、伊良湖岬や恋路ヶ浜が有名な、島崎藤村「椰子の実」の舞台となった渥美半島。この地に伝わる「大つもごの大ごちそう」を紹介します。 この料理は、大晦日までに作り、正月中、温め直しては食べる渥美地方に古くから伝わる料理で、忙しい主婦がのんびりできるように考えられたものといわれています。料理内容は、だいこん、にんじん、さといも、ごぼう、ちくわ、こも豆腐(豆腐をわらで包んでしばり、ゆでたもので、わらの筋目と風味がつき独特の味わい)または灰豆腐(豆腐を新聞紙に包み、一晩灰の中に入れて作るもの)、糸コブ、ひりょうず等を入れて煮込んだシンプルなものです。昔はかまどで使う大鍋”はそれ(はそり)”いっぱい作って食べられたんだそうです。 いかにも故郷の味で美味しそうですが、家庭料理なので残念なことに現地を訪ねても賞味するのは難しそうです。是非ご家庭でチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

渥美地方の正月料理「大つもごの大ごちそう」の写真
信州 豪商の館でいただくお正月料理

江戸中期創業で代々須坂藩の御用達を務め、その財力は須坂藩をも上回るとまでいわれた北信濃屈指の豪商「田中本家」。当時の面影を伝える屋敷構えは100メートル四方を20の土蔵が取り囲む豪壮なもので、内部には天明年間(1780年代)作庭の池泉廻遊式庭園や客殿、主家などの建物が軒を連ねています。土蔵には江戸中期から昭和の衣装、漆器、陶磁器、玩具、文書など生活に使用された品々が大変良い状態で残されており、その質と量の豊富さから「近世の正倉院」ともいわれ、土蔵五棟を改装した展示館で展示公開されています。 須坂藩のお殿様などお客様をご接待した記録が古文書「諸客賄方控帳(しょきゃくまかないかたひかえちょう)」として残され、当時使用した陶磁器、漆器、料理などが伝えられています。古文書をもとに再現されたお料理には、当時のお殿様にも供されたとされる「山鳥のお雑煮」などもあります。 本来は休館日のところをご厚意により特別に開館していただき、見学とお正月料理をお楽しみいただける運びとなりました。江戸双六、大正・昭和の双六などお正月の雰囲気を演出した展示を見物し、お食事は重詰ご膳に、江戸時代のお正月に食べていたものを本物のお重に詰めてお出しいただきます。お重はなかなか触れる機会のない江戸時代の蒔絵の重箱を使用し、お重に詰めた料理を取りまわしていただくというお正月ならでは特別な演出も。お料理の説明とあわせ、江戸時代の須坂の素晴らしい食文化をご堪能いただきます。

お正月重詰ご膳(イメージ)の写真
江戸時代の食文化(イメージ)の写真
高知 「皿鉢料理」と「大丸」

高知県ではおせちとともに食べられるのが「皿鉢料理」です。正月は親戚が集まったりすることもあり、大皿に刺身、カツオのタタキ、すし、そして海と山の季節の旬を盛り込まれた皿鉢料理を皆でワイワイやりながら飲み食べするのがこの地での正月風景だそうです。 また、もう一つ名物としてあげられるのが「大丸」という蒲鉾の中にゆで卵がまるまる一個分入っている練り物です。初日の出を連想される外観から、おめでたい食べ物として特にお正月に食べられることが多いのです。

高知・皿鉢料理の一例の写真
高知・大丸の写真
香川 「あんもち雑煮」と「年明けうどん」

香川県からは伝統的なものと新しいものとをご紹介します。 前者は「あんもち雑煮」。白味噌に、あんこ入りの丸餅が入った、かなりユニークなお雑煮です。讃岐で「あんもち雑煮」が広く食べられるようになったのは明治時代からだと考えられています。”甘み”がまだまだ貴重だった当時、サトウキビ作りに精を出していた農家が「せめて正月くらいは甘いものを家族で食べたい!!」と砂糖を使ったあんもちを雑煮にしたのが始まりといわれています。また、汁に使われる白味噌は、夏の日照りや水不足が多く、米の収穫が安定しなかった讃岐地方では”ハレ”の日にだけ食べる特別な味噌として各家庭で重宝されていたものです。 主な伝承地域は高松、坂出、丸亀を中心とした平野部。具は地域によっていろいろで、里いも、ごぼう、油あげを取り合わせたり、椀に盛った際、花かつおや青ねぎを散らす地域もあります。家族仲良く円満でありますようにとの願いを込めて、野菜は輪切りにするといわれています。正月のお雑煮にあんもちを使うのは、全国的にも珍しく、讃岐ならではの味でしょう。 後者は「年明けうどん」。こちらは、郷土料理という枠にとどまらず、新たな風習として定着させるべく全国に発信中のものです。純白で清楚なうどんを年の初めに食べることで、その年の人々の幸せを願います。白いうどんに赤いトッピング(蒲鉾、えび天、金時人参のかき揚げ、梅干しなど)で、おめでたい紅白の彩りにするのが決まりです。あんもち雑煮にならって、赤いあんもちを載せたうどんまで登場したとのことです。

香川・あんもち雑煮の写真
香川・年明けうどんの写真
異国情緒・長崎 「紅さし南蛮」
大浦天主堂と観光船の写真 提供:長崎県観光連盟

長崎のまちに伝わる食文化は、全国を見渡してもとてもユニークです。鎖国時代、海外との唯一の窓口・出島を通してもたらされた異国の文化や風習が大きな影響を及ぼしています。かつて日本で唯一海外に開かれ、様々な人や文化が上陸した長崎。和(日本)、華(中国)、蘭(オランダ、ポルトガルなどの西洋)との交流の中で、長崎独自の文化が育まれてきました。 この地方特有の正月料理としてご紹介するのが紅さしの南蛮漬け。南蛮漬けは現在でこそ一般的な料理ですがもともとは南蛮貿易時代にポルトガル人が長崎に伝えたといわれ、そこから全国に広まったそうです(諸説あります)。紅さし(べにさし)とは長崎の方言で、一般に「ヒメジ」と呼ばれる魚のことです。沿岸の砂泥底に生息し、あごの下の2本のひげで砂中にいる小型の甲殻類を食べるため、淡泊ですがほのかにエビの香りもします。その名の通りめでたい紅色をしていることから、南蛮漬けにしておせちの一品として伝承されてきたのです。

紅さしの南蛮漬けの写真 提供:長崎県観光連盟
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投稿:朝日インタラクティブ