出発地を選択してください。出発地はいつでも変更できます。
出発地を選択してください。
×
MENU

機関誌「旅なかま」掲載記事など最新のトレンドがわかるブログ

旅のアクセント

2013年10月29日

[旅なかま 国内版10月号] 山本麗子先生 巻頭インタビュー 冬を味わう海の幸・山の幸

〔本稿は会員誌『旅なかま 国内版』2013年10月号に掲載されたものです〕
ご新規のお客様には見本誌を無料でお送り致しますので、こちらのフォームからお申込みください。その際、「旅なかま 国内版10月号希望」とご記入下さい。なお、部数に限りがございますので、お早めにお申込みください。

旅なかま国内版10月号 山本麗子先生 巻頭インタビュー 冬を味わう海の幸・山の幸

鹿:先生、今日はお忙しいところありがとうございます。長野県東御市にあります先生のご自宅兼、料理教室スウィートハートにお邪魔しています。今日は曇っていて残念ですが、普段ですとここから浅間山が遠望でき、白煙を上げる雄姿が素晴らしく、それを楽しみに伺っています。ところで、今年の夏は長野も暑かったですか?

:暑かったですよ。35度を超える日が大分ありましたね。ここはもともと日照が良いところなのですが、お天気が良すぎて雨も降らず、夕立もなかったんです。ですから植物、野菜もそうですけど、本当に可哀そうでしたね。

冬の味覚 おすすめは「香箱(こうばこ)ガニ」

山本麗子さん(キッチンをバックに)

鹿:そうですか。まだこんな暑い時に実感が湧かないと思いますが、今日は「冬の味覚」について、お話をお伺いに来ました。先生は、お仕事柄、全国の美味しいものを召し上がる機会も多いかと思いますが、「冬の味覚」というと何をまず思い浮かべますか?

:やはり冬はカニでしょうか。「香箱」というカニが大好きなので、大きな雄より雌の方が好きなんですよ。季節になると「香箱」を取り寄せたり、実際に北陸まで、食べに行ったりしますね。

鹿:日本海のカニは地域によって呼び方が違うみたいですけども、それは雌のズワイガニのことですね?

:越前がにとかズワイガニとか言われていますが、どれも同じで、その系統の雌がだいたい11月初旬〜1月初旬までが漁期になって、その期間だけ食べることができるんですね。

鹿:普通は雄カニの方が高級で、日本海のカニといえば、雄のことですよね。

:そうですね。雄はミソは美味しいと思いますが、子が入ってる雌の方が好きなものですから…。この「香箱」と言われる雌の方は、内子と外子というのがあって、内子も美味しいんですけど、外にたっぷりついてるのも大好きで、もう3杯くらいパクパクと食べてしまうという…(笑)。

鹿:茹でたてが美味しいのですか?

:カニって不思議でね、茹でたてよりも冷たいというか冷めた方が甘みが出て美味しいんですよ。

8月下旬、緑に囲まれた長野県東御市のスウィートハート

鹿:え?茹でたてじゃないのですか。

:茹でたては温かいから殻が柔らかく、雄でも爪で簡単に剥けるんですね。で、冷めると固くなり、味も締まって美味しくなるんですね。以前、カニ料理で有名な料亭にわざわざ行って、カニを食べたのですが、一人分が2万円近くで、カニ尽くしだったんです。ですけど、率直に言って「あれ?家でいつも食べてる方が美味しい」と思いました。一緒にいた友人が、「私食べきれないから家に持って帰る」と言ってお土産にいただいて、次の日にご主人がそれを食べたそうですけど、ご主人に、「こんなに美味いものを食べてきたのか」と言われたそうです。確かに熱々も美味しいけど、やはり旨味が固まっていない気がします。だから、冷ました方がカニって美味しいんだなとその時わかったんです。でも、上海ガニは茹でたてが一番ですけど。

魚まるごと味わう「アラ料理」

鹿:なるほど。弊社では先生にご同行いただいて全国の旬の美味しいものを食べに行く旅を企画していますが、次回は、11月の末に福岡と佐賀にいらっしゃいますよね。幻のアラ料理を食べに行こうと。

:実は皆さんからのリクエストが多くて。やはり地元で食べないと、中々、私たちの口に入らないものですから。一度、アラ料理を食べに行った時、皆さん本当に感激していただいて、私も、それまでアラは鍋に限ると思っていたのですが、そうしたら、甘辛く炊いたものが出てきて、これが美味しかったんです。皆さんも、あまりに美味しかったので、出されたものをほとんど全部いただいて、それもしゃぶりながらね、鍋までたどりつけないくらい、もう本当に鍋がもったいないくらい、全部美味しくていただいちゃいましたね。

鹿:姿・形は写真で見たことはありますが、結構大きなお魚ですよね。何となく大味な気がするんですけども。

:多分、身の方は大味なんだと思います。だからお刺身はそんなに他の魚と比べて旨味が強くはないし、身も柔らかいですし、感激する程ではなかったです。でも、皮とか頭の部分のゼラチン質が沢山あってめちゃくちゃ美味しいですよ。だから頭やヒレ、唇のところとかをしゃぶると、プリプリ感がすごいんです。これはコラーゲンいっぱいという感じでね、女性にはとても嬉しい魚ですね。

鹿:これも冬限定ですか…?

:冬が美味しいといわれています。

鹿:一度、高知でクエ料理を食べましたが、それは違いますか…?

:同じなんです。系統は同じだと思います。呼び名が違うのかしら。私も四国ではクエのお鍋をさんざんいただきました。その後、九州の本場に行きましたら、大きさの違いでしょうか、圧倒されました。

鹿:関東ではほとんど馴染みのないお魚ですよね。魚屋さんでまず見ないし、捕れる量が少ないのでしょうか。

:それと多分ね、皆さん、アラの皮と頭が美味しいのはわかっているから、身だけを欲しいという方は少ないと思うんですよ。だからいくら大きくても半分に切ったりとか、三枚におろしたりとかそういう魚ではないので難しいんだと思うんです。みんな頭を欲しがる。

鹿:まるごと食べる魚なので、素人にはさばききれない。

:そうですね。だから大きな料理屋さんですとか、専門の旅館とかでないと一匹はさばききれないと思います。

鹿:11月末の旅が楽しみですね。

:ちょうど時期なので、そこで一緒に軽くフグもいただいたり、それと呼子にもちょっと寄ります。この時期、イカが美味しいので。呼子ではイカが活きて透き通っていて、これがもう本当に「イカがこんなに美味しいの」っていうくらい美味しくて、感激します。

鹿:確か、大きな生簀があって、たくさんイカが泳いでいて。

:胴体の部分はお刺身にしていただいて、エンペラと足は「茹でますか?揚げますか?」って聞いてくださって、私はいつも「天麩羅にしてください」ってお願いします。また天麩羅にしたイカが美味しいんですね。

鹿:アラもイカもわざわざそこへ行って食べる価値のある食材ということですね。

:はい、一年の最後にね、自分へのご褒美ということで。美味しいもの食べてまた元気になろう、っていう…。

アラの甘辛煮

山ぐに、信州の冬の味

鹿:先生は長野県にお住まいで、今までずっとお魚の話をしておりましたが、ここは海なし県の山の中ですが…。ここはひとつ、長野県の冬の味覚といいますか、ぜひお勧め料理のお話しをお願いします。

:まず、長野といったら、蕎麦ですよね、もちろん皆さん、わざわざ食べにいらっしゃるくらいですけど。この周りではないのですが、「投汁(とうじ)そば」というそばがあって、最初、冬の冬至のことかと思ってたんですけど、そうじゃなくて、つゆで煮た季節のお野菜とかがいっぱい入った鍋の中に、小さな手のついたザルに太めのそばを入れて洗うようにしながら、温めていただくんですけど、これがまためずらしくて美味しかったですよ。何か、つるつるという感じのそばではなくて、なかなか野趣があって、ボリュームたっぷりで美味しいものです。
あとは、こちらでは、「辛み大根」っていうのがあって、その辛い大根を絞って、わさびの代わりにして、つゆと絡ませて、もう本当に、七味もわさびもいらないっていうくらい、辛いタレで食べる方法もあるんですけど、それも、大根の採れる季節、寒い時に、いただいたりしますね。

鹿:やはり、冬といえば鍋ですね…。

:信州はキノコの宝庫ですから、天然のキノコも秋口から雪が降るまで出てきますし、あとは、キノコを沢山生産していますので、いろんなキノコがあるし、新しいキノコも次々生まれています。それを何種類も入れましてね、キノコ汁が多いです。そのキノコ汁に、またそばをつけながら食べるのもいいですね。うどんでもいいし、きのこ汁は、どなたでも喜んでくださいます。醤油仕立ても味噌仕立ても、どちらも美味しいので…。

呼子朝市の様子

麗子さんのお料理教室

キッチンを拝見

鹿:いや、お腹がすいて。ところで、この「旅なかま」が届いた頃、二か月も経てばお正月となりますが、先生は、料理の本や番組等で、お正月料理のレシピをお作りになっていると思いますが、今日は「とっておきのお正月料理」をご紹介いただけますでしょうか?

:今、おせちって毎年作る方と、好きなお店のを買う方と、黒豆と田作りと数の子と御煮〆、それくらいでいいのよという方と、いろいろいらっしゃる。でも、どっちにしろ、同じものばかりは食べられないので、2〜3回食べれば、飽きてくるんですよね。で、お客様の時に、ちょっと豪華なものが欲しいということで、うちでは、ローストビーフをフライパンで焼くんです。

鹿:ほお。

:4〜500gくらいのもも肉をね、ちょっと脂の入ったところを2切れ買ってきて、塩こしょうして、フライパンに油をひいて、1面を2〜3分くらいずつころころころがしながら、焼くんです。小さいものだと、2分位、合計8分位、ちょっと大きくなると、3分ずつ、合計10分から12分位焼くんです。で、焼いたローストビーフを熱くしたお出汁につけておくんですよ。

鹿:ほお、お出汁にですか。

:ええ、これは、お醤油とお酒とお水と、それを1:1:1くらいですかね、お醤油がちょっと濃いめですかね、なめたら、ちょっとしょっぱいくらいにしておいて、焼き立てのローストビーフを湧いた出汁醤油の中に入れて、蓋をして、そのまま火をとめて冷ますんです。そうすると、冷めたときに美味しい味がしみ込んでいて、切ってみると中はピンクで、和風味のローストビーフができるんですよ。このローストビーフは、生徒さん達に大変好評なので、うちではよくお客様にもお出しします。

鹿:そうすると、何分ぐらいでできちゃうんですか?

:完全に冷めてタレがしみ込むまで、置く時間をいれると、半日くらいかかるんですが、焼く時間は十数分で、調味料ができてて、蓋をすれば冷めていきますので、時間としては、20分もあればできちゃいますかね。

鹿:食べた方は、「さぞや手の込んだ料理」だと思いながら食べるんでしょうね。(笑)

:そうです。ですから、結構、好評なの。

鹿:早速、レシピをいただいて掲載させていただきます。
最後に、先生、冬と旅と食べものということで、何かお話しがありましたら…。

地元の当たり前の味を楽しむ

:そうですねえ、随分、いろんなところに行かせていただきましたけれど、旅先であまり期待していなくても、隠れた名品や、隠れた美味しさとがあって、いや、ここにこういうのがあったのかとか、これってこんなに美味しいのかと、行って初めて感激して、ああ来て良かったなと思うことが多いですよね。やっぱり旅行しないとわからないような…、この前も五島列島に行ってフェリー乗り場で、ちょっとだけ味見してみようかなと思って、さつま揚げを買ったんです。さすが魚の国。こんな美味しいさつま揚げ食べたことないっていうような、めちゃくちゃ美味しいさつま揚げでした。

鹿:普段、スーパーのしか食べてないので、ちょっと想像がつきませんが。

:そこでしか買えない、地元にしかない、遠くまで出荷できないというようなものが、結構あるので、そういう意味では、いろいろなところに行くことは、意味がありますね。

鹿:わざわざ、東京まで出荷するものでもないし、専門店として商売が成り立つものでもないけれど、地元の人は地元で、美味しいものを、普段から食べているということでしょうか。(笑)

:だから、地元の人は当たり前と思っているものでも、私たちには知らない美味しいものが、全国にまだまだあると思うんですね。旅をしてみて、わかることですね。

和風ローストビーフ
プロフィール山本 麗子先生

投稿:朝日インタラクティブ