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機関誌「旅なかま」掲載記事など最新のトレンドがわかるブログ

旅のアクセント

2018年08月08日

旅なかまVol.280 6回シリーズ 「巨匠6人によるキリスト教名画解説」—ヨーロッパ6ヶ国の美術館から—

〔本稿は会員誌『旅なかま』2017年Vol.280に掲載されたものです〕

第1回 「アダムの創造」ミケランジェロ・ブオナローティ

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システィーナ礼拝堂天井画(1510年、フレスコ、280×570㎝)©Wikimedia Commons

「その後、神である主は、土地のちりで人を形造り、 その鼻にいのちの息を吹き込まれた。  そこで、人は、生きものとなった。」 —創世記2章7節—

「信頼」

ミケランジェロといえば、誰もが知る有名なルネサンス期を代表する巨匠の一人です。現代でも多くの人々に強烈な印象を与えている孤高の芸術家です。
彼は、生まれてすぐに石工の家に里子に出されたため、若くして死んだ母の記憶をもっていませんでした。13才で当時フィレンツェで活躍していた画家ギルランダイオの工房に弟子入りし、壁画の技法を学びます。
このシスティーナ礼拝堂天井画では、当時の教皇ユリウス2世の命によって1508¦12年の4年間をかけて完成します。今から約500年前の偉業でありました。その中で特にめを引く絵画が「アダムの創造」ではないでしょうか。
画面に人物が描かれていたら、その人物の表情を読み取りなさい……これは私が教えられた絵画の鑑賞方法です。
右側の神(当時は目に見えない神を、人間の姿を借りて描いておりました)は、ちょっと老人の様でありますが、その眼差しは威厳とともにとても慈しみ深く、愛情に富んでいます。神はアダムをこれ以上ない愛をもって造り上げたのでした。一方のアダムは、神への従順と信頼の感情をもった穏やかな表情で描かれています。
この絵は、土地(ヘブル語:アダマ)から人(アダム)を創造した神と、神によって造られたアダムとの一致した関係が、ルネサンス様式の理想的な肉体表現によって描かれているのです。この神と人との信頼関係を探っていくと、三つの共通点を発見することができます。
〈互いに見つめ合う目 互いに触れ合わんとする指先 同じ方向に向いている足〉
ミケランジェロは神と人との関係が本当に素晴らしく、また一致している姿を美術独特の構図(視覚的効果)を用いて私たちに訴えているのです。私たちがこの絵と対面するとき、とても清々しい気持ちにさせられるのは、そんなところから来ているのではないでしょうか。
作品の価値は、「誰が造ったか」によって決まってきます。そして作品は作者の人格に似ています。アダムは神ご自身に似た者として、また最高に愛する対象として、この地上に生を受けたのです。
人とは誰か・……それは永遠の問いでありますが、最初の人間アダムを見るときに、そこにこそその答えが隠されている(いや表わされている)のではないでしょうか。私たち一人ひとりも神に愛される者として、また神との親しい交わりを持つ者として造られたのです。
*尚、聖書のことばには、「いのちの息を吹き込まれた」と書かれているのに、その表現が見当たらないのは不思議なようですが、ミケランジェロは神と人とが直接口づけする姿は見る者に誤解を招くという心配から、あえて指と指を近づけることによってそのことを表わしたのではないかと言われます。

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システィーナ礼拝堂内 ©AST       システィーナ礼拝堂外観 ©AST

《プロフィール》
町田 俊之(まちだ としゆき)氏 :富士見聖書教会牧師 青山学院大学非常勤講師。1995年、美術宣教を目ざす「バイブル・アンド・アートミニストリーズ」を設立。<主な著書>「アートバイブル」(日本聖書協会)、「巨匠が描いた聖書」(いのちのことば社)

 

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投稿:首都圏発海外旅行担当