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機関誌「旅なかま」掲載記事など最新のトレンドがわかるブログ

旅のアクセント

2012年06月27日

2012年6月27日 旅なかま7月号 都市を歩く 巻頭特集 ヴェネツィア Venezia ―都市と美術のマリアージュ

〔本稿は会員誌『旅なかま』2012年7月号に掲載されたものです〕
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巻頭特集 都市を歩く ヴェネツィア 都市と美術のマリアージュ

イタリアのうち、どこか一か所行くならどこがよいかと問われたら、私は迷わずヴェネツィアと答える。世界広しといえども、ヴェネツィアほどユニークな町はない。いまだに乳母車以外の車が禁止され、自動車のないひっそりとした道に千年以上の歴史の重みが刻み込まれている。町自体が比類のない大きなテーマパークのようだ。
 ヴェネツィアは、陸地から4キロほど離れたアドリア海のラグーナ(潟)に浮かぶ百あまりの小さな島からなりたつ。島々の間を道のように運河が縦横に走り、400もの橋がこれをつないでいる。2千年近く前に、無数の杭をラグーナに打ち込んで人工的に都市を作り出し、やがて「アドリア海の女王」とよばれる一大海洋国家として繁栄を謳歌した。
 しかし、ヴェネツィアが世界史上もっとも重要なのは、その美術によってである。イタリアはつねに西洋美術の中心として、様々な美術潮流を生み出してきたが、ヴェネツィアは、そのいずれにも独自の貢献をし、ローマ、フィレンツェと並ぶ中心地であった。

ジョヴァンニ・ベッリーニ作「サン・ジョゼッペの祭壇画」

ヴェネツィアで美術が発展した要因としては、東西の優れた文化が流入する地理的条件や豊かな経済力に加え、ヴェネツィアが長く独立を保つ過程で培われた強い愛国心があった。ヴェネツィア人は国家の偉大さや名声を高めるためには何でもし、それによって町そのものを壮大な記念碑にしようとした。こうして、行事や式典を繰り返し、壮麗さを愛し、美や歓楽を好む気風が育まれたのである。そんなヴェネツィアが美術の都になったのは当然であった。とくに絵画が優れ、モザイク、フレスコ、油彩画ともに輝くような色彩の豊かさと壮麗さを誇り、長く西洋では、ヴェネツィア絵画といえば絵画の最高級ブランドとして尊重されたのである。

ティエポロ作「信仰の勝利」

もともとビザンツ帝国とのつながりによって繁栄したヴェネツィアは、その影響によってサン・マルコ大聖堂に見られるような見事なモザイクを生み出した。13世紀初め、十字軍に便乗して宗主国であったビザンツ帝国の首都コンスタンティノープルを占領するや、そこから膨大な富と美術品がもたらされ、ヴェネツィア経済と文化は繁栄をきわめる。14世紀には画家パオロ・ヴェネツィアーノがビザンツの影響を受けた華麗な色彩と説話表現を得意とし、ヴェネツィア派絵画の基礎を築いた。

迷路のような運河

15世紀のベッリーニ一族は大きな工房をかまえ、そこから数多くの優れた画家が輩出。とくにジョヴァンニ・ベッリーニは、穏やかで抒情的な画風によって長くヴェネツィア画壇で活躍し、その弟子であったジョルジョーネは師の抒情性を発展させ、詩的で優美な作品を描く。その弟子であったティツィアーノは、師の画風を発展させ、ローマの盛期ルネサンス様式や古典主義を導入し、抒情性と力強さと兼ね備えた画風を確立。教皇や神聖ローマ皇帝の庇護を受けるなど、国際的な名声をほしいままにした。
 16世紀はティツィアーノの圧倒的な影響のもと優れた画家が続出したが、殊に世紀後半に活躍したティントレットとヴェロネーゼが屹立している。前者はティツィアーノの劇的な表現力や力強い人体表現、後者は華麗な色彩と祝祭性を継承し、ヴェネツィア派を盛り上げた。

ヴェロネーゼ作「ヴェネツィアの栄光」

17世紀はローマでバロック芸術が開花したが、ヴェネツィアは停滞し、18世紀になると再び活気を取り戻して、「第二次ヴェネツィア派」とよばれる画家たちが登場。中でもティエポロはその筆の早さと巧みさによってドイツやスペインにもよばれて腕を振るい、イタリア美術の黄金時代の最後を飾った。
 ヴェネツィアを歩き、その風光に浸かってからヴェネツィア絵画を見ると、それらが環境と非常に調和していることがわかる。ヴェネツィアは四季折々、また一日のうちのいつの時間でも異なる表情を見せる。そうした変化を楽しみつつこの迷宮都市を散策し、教会や美術館にあふれかえった美術を見ることほど、生の至福を感じさせてくれる体験はないだろう。

宮下規久朗先生プロフィール pickup_2012_07_vce_title03.jpg

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狭い路地と細い運河が複雑に入り組んだヴェネツィアは、「一度は歩いてみたい」というより、『迷ってみたい』(?)街。
 自分の足の向くまま気の向くままに路地を抜け、アーチをくぐると、突然現れる美しい広場や運河沿いに建つ壮麗な貴族の邸宅。歩く程に、驚きと感動が待っています。サン・マルコ広場もアカデミア美術館も、ここではただの通過点。この街に目的地はなく、歩くこと=迷うこと自体が目的なのです。
 そして、歩いたはずの場所も時間と共に、別の表情に。朝もやの向こうにおぼろげに見える幻想的な路、夕陽を受け水面輝く運河。夜空に浮かび上がる教会の塔のシルエット。
 何度訪ねても、もっと歩きたくなる街ヴェネツィアへー。(宮嶋 博)

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投稿:朝日インタラクティブ