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日本の地勢、気候からなる建築形態とその素材に基づくためか、わが国では壁画芸術はあまり発達しませんでしたが、ヨーロッパにおいては古代より、壁画というかモニュメンタルな世界の表現を見ることができます。
フレスコの素材から来る画面の美しさに魅せられて、フレスコ画の創作とフレスコ壁画の修復保存の道を選んで35年余りになりました。壁画修復の仕事は過去の人びとが遺した作品に触れながら、壁画を正しく甦らせ、未来の人びとに伝達することです。フランスの文化遺産である壁画の修復は重要な使命と責任があり、私は集中力を持って修復保存の仕事に打ち込み、ブルゴーニュを中心にフランスの各地で仕事をして来ました。
収穫の秋は何処の国を訪れても歓喜に満ち溢れた人びとに出会うことでしょう。ブルゴーニュといえば、ワイン、とくにコート・ドール(黄金の丘陵)は文字通り紅葉したブドウ畑の世界が広がり、9月上旬から始まるブドウ摘みで一層活気がでます。昔から人びとは天地の恵みに喜んで、ワインを造ってきました。
ワインの歴史は8000年前に遡り「不死の生命を与えるといわれる神酒」で、ワインは歓喜の源泉であり、神の恵みであるといわれています。古代文明においては重要な位置を占めています。ブルゴーニュのビブラクト(オータンより西30キロメートル)には考古学研究所、ケルト文明美術館があり、現在、ワイン文明に関する発掘品を展示しています。ワインのお好きな方には11月23日まで開かれている展覧会をご覧になることをお薦めいたします。また、9月上旬にはブルゴーニュ州都ディジョンで秋の国際的祭典が盛大に行われます。
2000余年の歴史を持つオータンも見所があります。サン・ラザール大聖堂の周囲に古代ローマ人が築いた城壁があり、12世紀に3つの塔をもつリヴォー城が築かれました。フランス国王からユルスリーヌ女子修道会へ下賜された後、宗教戦争やフランス革命によって2つの塔が壊され、1つの塔のみになってしまいました。8角形からなる優美な塔は修道院に因んで「ユルスリーヌ塔」といわれています。幸いにも私がそれを取得することになりました。私のチャペル地下礼拝堂のフレスコ壁画創作もご覧下さい。このフレスコ壁画は日仏の美術大学生たちと制作しています。皆様のブルゴーニュ訪問をお待ち申しあげております。
高橋 久雄氏(たかはしひさお)
ユルスリーヌ国際文化センター代表
フランス文化省公認壁画修復家 フレスコ壁画家
1936年 埼玉県生まれ。
若くしてフランスに渡り、フレスコ画と壁画修復技術を学ぶ。在仏40年。日本人ではただひとりのフランス共和国文化省公認壁画修復家として、ブルゴーニュやアルザスなど50ヶ所を超える由緒ある中世の壁画修復に携わる。フランス政府からシュヴァリエ芸術文化勲章、オフィシエ芸術文化勲章、レジオン・ド・ヌール勲章の栄誉に浴されるなど功績は高く評価されています。
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