永遠の名峰 マッターホルン
全長1400km。本州をすっぽりと包み込んでしまう壮大なスケール感を誇るヨーロッパアルプスの大山脈群は東西5ヶ国に広がる。
その中で一際目を引くアルプスの代表的な名峰と言えば誰もが知るマッターホルンである。
アルプス山中でも険しい峰々が連なるスイス、イタリアにまたがるその山は、アルプスきっての山岳リゾート・ツェルマットから望むと、鋭く尖った峰が天に突き抜けるようである。私はこの山を登山電車の終着駅であるゴルナグラート展望台から早朝・夜明け、2度眺めてほしいと思う。答えはこの写真にある。朝、雲海はツェルマットの街を覆い隠し、同時に一切の人口物も覆す。―より神秘的になる瞬間となる。アルプスの名峰モンテローザから右へ、グレンツ氷河を経てリスカムからブライトホルンそして誰もがマッターホルンでその目の動きを止める。
バランス良く円錐形に広がる全ての斜面は見事に氷河に研ぎ澄まされ、星の数ほどあるアルプスの名峰中の名峰、永遠の名峰マッターホルンの朝焼けの容姿はあの山岳ホテルで知られるクルムから眺めたい。
名峰を愛でる旅へ
ベルナーオーバーラント山群
アイガー、メンヒ、ユングフラウ。言わずと知れたアルプスを代表する三山を目の前で愛でることの素晴らしさを訪れる度に感じてしまう。
かの有名なアイガー北壁をはじめ、これらの見上げるような山々に登ってしまうという人間もいるのだから驚きだ。そして、もっと驚愕すべきはアイガーの山中をくり抜いて造られたユングフラウヨッホの展望台だ。ヨーロッパアルプス最長の世界遺産アレッチ氷河を眼下に望むアルプス山上からの眺望はベルナーオーバーラント山群を語る上で、外すことのできないまさに極上の絶景。
ここでの楽しみ方をもう一つ。氷河により削られた谷間から谷間に点在する素朴な村々への滞在だ。色彩豊かな花々で飾られた山小屋風の素朴でかわいらしい木造建築から覗かせるアイガー、メンヒ、ユングフラウの表情は千差万別で飽きることがない。好きな村で好きな角度から日がな一日、眺めてみるのもいいだろう。
ゆったりと流れる贅沢な時間は、私達日本人が今一番必要としている心のゆとりを与えてくれる。
場所をかえ、時間をかえ、季節をかえ、幾度も時間を作って眺めたい山々である。
岩峰の芸術 ドライ・チンネンを見上げる
いつか初夏のドロミテを歩いてみたいと思った。針葉樹の林に囲まれて広がるミズリーナ湖から、岩峰鋭い山の雄姿が顔を出している一枚の写真を目にした時、この大岩壁に少しでも近づきたいと感じた。
バスでドロミテの街道を走る。すでにイメージしているヨーロッパアルプスとは違い、そこはまるで岩の王国。巨大な岩峰が連続する景観は、ここドロミテのみが持つ奇観かもしれない。
ドライ・チンネンの直下に立つ。日差しがより一層岩山を美しく見せる。遠くにロッククライミングを楽しんでいる人々が蟻のように小さく見える。その岩峰は独特の地質「ドロマイト(地質学者ドロミューが研究)」で形成されている山魂から成り、柔らかい部分がどんどん崩れて、砂状になったところに登山道が出来た。今見上げている山は、厳しい自然条件を経て残された岩の芸術なのだ。それは同時にクライマーの憧れの地でもある。
オーロンツォ小屋(2320m)から聳え立つドライ・チンネンを一周。次のラバレード小屋(2344m)までは、トレ・チーメ(三姉妹峰)の下をほぼ平行に歩く。岩の世界だけではなく可憐に咲いているアルプスの花の世界も、このルートは楽しめる。
その先ロカテッリ小屋を周ってドライ・チンネンを一周する。「ここからの姿が一番美しい」と、自分のお気に入りポイントを見つける。岩の隙間から吹く風がなんとも心地よく感じる瞬間こそ絶景を創り出す瞬間。足を止めドライ・チンネンを見上げる。
壮絶な北壁 モンブラン・グランドジョラス
イタリア国境にも近いフランスの山岳リゾート・シャモニーは、登山・ハイキング・スキーのメッカとして、一年中賑わいをみせる。街の南側には、間近に名峰モンブランや針のように尖った山並みのシャモニー針峰群が大きく迫る。シャモニーの街中からは眺めることはできないが、東方にはアイガー・モンブランと共に世界3大北壁に数えられる難所を持つ標高4208mのグランドジョラスがそびえたつ。
勿論、天候にも左右されるが、グランドジョラスの絶景を眺められるのは、シャモニーからロープウェーで簡単に上ることができるエギーユ・デュ・ミディ山頂とラック式の登山電車で登るモンタンベールになる。特に、モンタンベールからはグランドジョラス北壁の壮絶さと、その直下から始まるレショー氷河、更にそれにつながりシャモニーの谷に流下するメール・ド・グラス氷河の眺めが圧巻。
モンタンベールを訪れたら、是非、メール・ド・グラス氷河に下りてみましょう。グランドジョラスの全容が目の前に広がる。氷河には「氷のトンネル」が掘られており、中に入ることもできる。作り物ではない真っ青な自然の色を感じることができる。
モンタンベールのホテルに宿泊する事も一案である。夕焼けと朝焼けに輝くグランドジョラスを一人締めしたような気分になった。
野性の
リズムが蘇る
マウントロブソン峰 カナディアンロッキー
世界初の国立公園として知られるアメリカンロッキー、イエローストン国立公園は、自然保護の父といわれるジョンミューアの意思を受け継ぎ創設に至ったといっても過言ではない。それは現代にも通じる
”人間が自然に対する思想“が形になった瞬間でもあった。―無論カナディアンロッキー山脈に点在する国立公園及び自然保護区の全てはその思いを受け継いでいる。
カナディアンロッキー。この言葉を世界的に轟かせた全長230kmレイクルイーズ、ジャスパー間に通じる一本の道、通称『アイスフィールドハイウェイ』。ロッキーを縦断する道はこの一本しかなくそこに『山』・『氷河』・『湖』・『動物』など、自然界の魅力が凝縮されている。そして同時に自然界に限りなくダメージを与えないたった一本の道は自然界に敬意をはらった道でもあると言える。
―今回はジャスパー郊外にあるカナディアンロッキー最高峰の名峰マウントロブソン峰を紹介したい。
ジャスパーから訪れると突然姿を現す巨大な黒い岩の壁、その半分を光沢のある白いペンキの氷河で塗ったようなどっしりとした容姿、それがマウントロブソンだ。そのロッキーの壁は雲を遮り麓に恵み(雨)を落とし谷間に特有の植生を創りだす。ロブソンの山はロッキーの自然にも多大な影響を持つことがうかがえる。
マウントロブソンの朝。夏でも少し肌寒い太陽が昇る直前の朝は暗闇に少し霧かかっていて幻想的なロッキーの姿を現す。日が昇る。その霧は蒸気となって少しずつ消え同時に森にとっても朝の狩りを済ませた野生動物の頂点に君臨するグリスリーベアーが家族のもとへ帰る時間でもある。僕はその瞬間、ロッキーの野性的なリズムに真の自然美を感じる。
崇められている
奥チベット崑崙山脈の名山 アムネマチン
「エベレスト山より高い山がある可能性」と話題になったことのあるアムネマチン(青海省)。1960年に中国の調査隊によって山の位置と標高6282mが確定された。
瑪沁に向かってひた走る。途中、黄河の橋を渡る。さすが黄河源流域だけあって河の水がきれいで驚いた。どこまでも続く美しい草原にヤクや羊の群れ、チベット族の女の子が植物を摘んでいる。食べる仕草をして教えてくれた。どうやら薬草を煎じるようだ。車から降り、高山植物を観察。ここは標高3500m以上、高所だからなるべく興奮しないように心がけるが、憧れていたブルーポピーがこんなにも群生していると、どうしてもはしゃいでしまう。馬に乗って尼僧がデジカメを覗いてきたので見せると、すてきな笑顔で微笑んだ。
チベット寺が点在する村を通りそろそろアムネマチン麓の町、瑪泌(3735m)へ。ずっと霞がかっていた空だったが、急に青空になり、白い頂きが見えてきた。きれいな水あふれる黄河、素朴なチベット族、多くの種類を観察できた高山植物、そして輝くアムネマチン。古来からこの自然すべてを崇める気持ちが伝わった瞬間である。
蜀山の女神 四姑娘山
四川省成都市から西北220km。日隆に位置する四姑娘山は、名前通り四人の娘が手を繋いでいるように見える。
日隆に滞在しながら3つの渓谷(長坪溝、双橋溝、海子溝)を歩いて楽しむ。
ひとつの渓谷に一日費やすことをお薦めしたい。四姑娘山が手を結んでいるように見えるには時間をかけなくては。四人の娘が微笑んでくれるはずであろう。 |