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旅なかま 11・12月号

ゴッホを追って、ヨーロッパの春へ
ゴッホを追って、ヨーロッパの春へ
ゴッホを追って、ヨーロッパの春へ

ゴッホが生を受けたベルギー国境に近い小村ズンデルトには、オリジナルの生家跡に1904年に再建された生家が残っています。つい一年前までは不動産屋の事務所だった建物は保存協会によって買い取られ、一般公開されるのを待っています。ここから30キロほど離れたゼーフェンベルヘンには、ゴッホが11歳から13歳まで滞在した寄宿学校が今も残っています。最北端の足跡であるドレンテ州ニーウ・アムステルダムにある宿屋は、保存協会の努力で危うく取り壊しを免れて修復保存され、現在では「ゴッホの家」として一般公開されるようになりました。ゴッホがその短い人生で最も辛い一時期を過ごした、ベルギーのかつての炭鉱町・プティ・ヴァムに残る下宿先のパン屋は、荒れ果てて倒壊寸前の姿を晒して今も建っています。果たして保存され一般公開される日は来るのでしょうか?その近くにある、彼が無為の放浪時代を過ごした炭鉱夫の家は、倒壊した建物を保存協会が修復し一般公開しています。さらに二度にわたる英国時代のゴッホの姿や、その滞在先を詳しくご存知の方は少ないのではないでしょうか。
 こうしたあまり知られていないゴッホの足跡を、ロンドンからスタートしてドーバー海峡に面した町ラムズゲイトへ、そこからホーバークラフトで海峡を渡ってベルギー経由でオランダへ、そして最北端の地ニーウ・アムステルダムを経て再びベルギーへ、更にパリ経由で最南端の滞在地である南仏のサント・マリー・ド・ラ・メールまでへと、四カ国に亘るゴッホのほぼ全足跡をくまなく辿るユニークで他に例を見ない壮大な旅を企画してみました。一般に知られることの少ない画家になる以前のゴッホから最晩年の画家としてのゴッホの全貌が、詳細な解説で全足跡を追うこの旅で、皆様の心の中に生き生きと蘇ってくることでしょう。
 アルルへの途中で、ローマの偉大な水道橋遺跡のポン・デュ・ガールも訪れます。これらの足跡は「青空の憂鬱―ゴッホの全足跡を辿る旅―」を執筆するにあたり、10年の歳月をかけて私自身で調べ自身の足で歩いた場所です。
 ゴッホを旅することは、私自身が何度も経験したことですが、自分自身と真剣に向き合い、心の癒し、人間性の回復を体験する感動の旅でもあるように思います。ぜひ早春のヨーロッパを、ゴッホを追ってご一緒に歩いてみませんか。

アルルオランダの町並みゴッホの描いた自画像

吉屋 敬氏 吉屋 敬氏 (よしや けい)

オランダ在住 画家・エッセイスト ゴッホ研究家

略歴:1945年横浜生まれ。文化学院でグラフィックデザインを学ぶ。1964年オランダ、ハーグ市の王立美術大学に留学。1973年ユリアナ(前)女王の戴冠25周年特別記念肖像画展に招待出品。以後オランダ、ベルギー各地、日本(銀座・和光)で定期的に個展活動。
著書:「ネーデルラント絵画を読む」(未来社) 「楡の木の下で―オランダで思うこと」(未来社)「母の秘蔵の絵」(未来社) 「みずうみの家」(毎日新聞社)「青空の憂鬱=ゴッホの全足跡を辿る旅」(評論社)

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