BRAZIL (ブラジル)
情熱のラテンリズム リオのカーニヴァル
カリオカと呼ばれるリオ・デ・ジャネイロ生まれの人々は、骨の髄までラテン気質。その彼らが愛してやまないリオのカーニヴァルは今日では世界最大級の祭典と称されます。
ここラテンアメリカでのカーニヴァルの起源はアフリカ大陸からの黒人たちの影響を大きく受けた結果、現在の俗化されたカーニヴァルが形成されたといわれます。
各チーム3千人から5千人もの人々で形成され、一つのテーマに沿って花道650mを行進します。踊り手のダイナミックな動き、趣向を凝らしたコスチューム、壮大な山車、小気味のいい打楽器音、最高のパフォーマンスが夜を徹して繰り広げられる様はまさに動くミュージカルといったところでしょうか。
リオのカーニヴァルの興味深いものとしては、表現力・衣装・テーマ曲などの細かい採点項目から順位を競うという点です。最高の名誉を目指し全身全霊をささげる行進は観戦する者の五感に強烈な刺激を与えます。
サンバのリズムに身体を委ね、感じるままに身体を揺らしてみましょう。踊り手と一体化するこの瞬間が何とも心地良いものです。
地球の裏側で行われる世界最大級の祭典「リオのカーニヴァル」の旅は、実際に体感してのみ、その本当の魅力にとりつかれるのです。
(大和大輔)
 
MALTA (マルタ)
ほのぼのとした マルタ謝肉祭
サンバのリズムが情熱的なリオのカーニヴァルですが、花合戦ニースや仮面舞踏会ヴェネチアのカーニヴァルと起源は一緒。イエス・キリストが荒野で悪魔と戦い修行したことを偲んで、復活祭までの40日間肉食を断つ、ラテン語の「カルネ・ヴァーレ(肉よさらば)」からきています。
国民の約9割が敬虔なカトリックのマルタでも、カーニヴァルは一年で一番大きな宗教行事。仮装ダンス大会が中心ですが、出演者の多くが10代のため他の国のように激しいものではなく、マルタ人の穏やかで優しい気質が伝わるほのぼのとしたものです。メイン会場で行われるダンス大会の初めには、16世紀のヨハネ騎士団とトルコ軍の戦闘を元にした伝統的な踊りイル・プラータが参加者によって披露され、祭りを盛り上げます。
カーニヴァルの楽しみのひとつに、その間だけ食べられる特別なお菓子があります。プリニョーラータと呼ばれる、とんがり帽子の形をしたとっても甘いケーキ。マルタの伝統的なケーキですので、この時期にいかれた方は是非召し上がってみてください。
 
ITALY&SPAIN (イタリア/スペイン)
春をつげる二つの祭典 シチリアのアーモンド祭り バレンシアの火祭り
カーニヴァル以外にも、この時期各地でお祭りがあります。薄いピンクの花の満開の時期に合わせて開催される「アーモンド祭り」。モロッコやサルディーニャなど、地中海沿岸各地で行なわれますが、印象的なのはシチリアのアグリジェント。小高い丘に神殿群がならぶ「神殿の丘」。神殿の間にたくさんのアーモンドの木が植えられ、2500年の悠久の時と、散りゆくはかない美しさが一度に楽しめます。
また、キリスト教の聖人の日に合わせたお祭りもあります。3月10日のサンホセ(イエスの父ヨセフ)の日に大きな焚き火をし、張子の人形を火にくべたことに由来する「バレンシア・サンホセの火祭り」もそのひとつ。
今では張子の人形は派手に巨大になりました。祭りではコンテストが行われ、優勝した人形以外の全てに火がつけられます。バレンシアは街全体が炎に覆われたようになり、人々は春の訪れを実感します。
(野口静子)
 
ヒマラヤの仏教国 ブータンのツェチュ祭
今でさえ都市部を離れるとおよそ娯楽らしきものがない山国のこと。一年に一度のお祭りの日には大好きなご飯に大きな肉の煮物、バター茶を入れた魔法瓶をバスケットに詰めて、特別上等な衣装姿でお城に向かう顔は誰しも嬉しそう。娯楽だけでなく村からは道路もないから、数時間、あるいは一日、二日、歩いてやってくる人もいます
仏教の国ブータンのツェチュ祭のメインステージは躍動的な仮面舞踊。慈悲深い仏ばかりでなく鬼のような忿怒の面、動物の面、骸骨の面もあります。仏教と邪悪な者との戦いの再現、そして仏教の勝利と栄光を称えるそれらの踊りは見るだけで功徳があると信じられているのです。
一方で、そんな神聖な踊りの輪の中には、必ず鼻の大きな赤い仮面の道化師が観客に悪ふざけをしかけ、たえず笑い声が聞こえてきます。
こんなブータンのお祭りには、いわゆる`敬虔な仏教徒aというよりも、お洒落を自慢しあい、道化にからかわれ、家族でお弁当を広げる楽しみと、よりよい来世への祈りを同時に生きる人々がいます。どうやらヒマラヤの仏たちの慈悲はふところ深く温かいようです。
(久保淳子)
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