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旅なかま 3月号

春爛漫のマケドニア春爛漫のマケドニア
春爛漫のマケドニア春爛漫のマケドニア
春爛漫のマケドニア春爛漫のマケドニア

 花の咲きほこる春。誰しも心待つことであります。マケドニアの土壌にもやっと春の訪れがきました。
 フランスで仕事をするうちに、当時のユーゴスラビア・プリレップ国立美術館の招聘を受け、中世マケドニア聖堂に接する機会に恵まれました。ここでわたくしを異常なまでに感動させ、心を奪って離さなかったのが聖堂壁画です。中世マケドニアの画家たちは、複雑な建築構造を巧みに生かし、卓越した技量で聖堂を飾り、「建築と絵画」の諸問題をより深く追求しました。画家としての本来の素質を備え、しかも神への深い祈りがあったればこそ成し得た仕事でしょう。
 ふとした折に触れたマケドニアの聖堂壁画は、美しく、また荘厳で無言の中にも力強くわたくしの心を引きつけました。建築と絵画のすばらしい調和の世界を創造した生命の発露と精神、その背景と歴史を求めて、その後もマケドニアへの旅を重ね続けました。
 修道院聖堂は岩山に囲まれてひっそりとたたずみ、中世のおもかげをあますことなく伝えていました。聖堂壁画の撮影が終わり帰路についた時は、修道院を守っている老いた修道女が門に立ち、いつまでも、いつまでもわたくしたちを見送ってくれました。その場景は、いつまでも昨日のことのように鮮明に思い出されます。
 錯雑とした中世社会にあっても、またどんな過酷な状態におかれても決して消滅しなかったマケドニア・スラヴ民族の精神は現在にいたるまで保持され、未来へも続く尊いエスプリであるとわたくしは思います。マケドニアの歴史を学び、今マケドニアの人びとに接して、それを強く感じます。

高橋久雄氏

高橋久雄氏 (たかはしひさお)
ユルスリーヌ国際文化センター代表
フランス文化省公認壁画家修復家
フレスコ壁画家

略歴:1936年 埼玉県生れ。若くしてフランスに渡り、フレスコ画と壁画修復技術を学ぶ。在仏40年。日本人ではただひとりのフランス共和国文化省公認壁画修復家として、ブルゴーニュやアルザスなど50ヶ所を超える由緒ある中世の壁画修復に携わる。フランス政府からシュヴァリ芸術文化勲章、オフィシ工芸術文化勲章、レジオン・ド・ヌール勲章の栄光に浴されるなど功績は高く評価されています。

マケドニア
マケドニア
マケドニア


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