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機関誌「旅なかま」掲載記事など最新のトレンドがわかるブログ

旅のアクセント

2018年10月05日

《特集》源泉の湯と湯泉文化の守り主

源泉の湯と湯泉文化の守り主



写真:大分県 壁湯温泉 旅館 福元屋 洞窟風呂

高度経済成長期から、時代とともに移り変わってきた温泉旅館の姿。〝本物〞が求められるようになった現在、代々受け継がれた温泉文化の灯を守るべく立ち上がった人々がいた。温泉を正しく知り、温泉文化の真髄を後世に伝える伝承者。その人柄に触れ、その温もりを身体いっぱいに感じる湯の旅へ―。

 


写真:秋田県と岩手県にまたがる乳頭山の山麓にある乳頭温泉郷・鶴の湯温泉(写真提供:乳頭温泉組合)

高度経済成長をきっかけに、温泉を訪ねる人が増えたことで、旅館の大型化や温泉街のビル化が進んだ。高速道路の発達とともに、鉄道だけでなく観光バスで団体客が押し寄せるようになり、温泉は、湯治場から観光地へとその姿や役割を大きく変えてきた。

その後、いわゆる「温泉ブーム」と呼ばれる頃になると、主役は歓楽街に群がる男性客から女性客へと移り、露天風呂人気でOLや女子大生がこぞって温泉を訪ねるようになった。同時に旅行の形態も少人数化し、バブル経済の世の中の風潮として、高級志向となっていったのである。それまでの大型旅館は、小型で高級な和風旅館へと姿を変え、歓楽街然とした温泉街も次第に様相を変えていった。

しかし好景気は長くは続かず、バブル崩壊後、日本経済は停滞の局面を迎えることになる。2008年のリーマンショック以降、景気はさらに悪化。高度経済成長期の大型旅館はその規模を持て余すようになり、経営が苦境に立たされた多くの古い旅館が倒産に追い込まれることになった。


写真:群馬県 たんげ温泉【硫酸塩泉】 美郷館「月見の湯」

 

〝本物〞の温泉を求める人々


2004年に発覚した温泉偽造問題で、成分の再分析や「温泉」に対する定義付け、利用形態の提示義務など、法律による縛りに加えて、利用客からも、〝本物〞の温泉が強く意識されるようになっていた時代。人々の志向は次第に、著名な温泉街の大型旅館から、山奥にある小さな一軒宿や野趣あふれる野天風呂・露天風呂を求めるように変化し、「秘湯ブーム」が静かに広まっていった。「本物の温泉とは、古くから多くの人々が親しんだ温泉を掛け流すという入浴法にこそ受け継がれるものであり、温泉掛け流しは、わが国固有の温泉文化である」と、元神奈川県温泉地学研究所長の平野富雄氏はいう。古来より温泉は人々を癒す薬の役割を担ってきた。多くの人々がその効果を実感し、名実ともにその恩恵にあずかっていた事実こそが、古来より現代まで続く最高の温泉文化というわけである。

温泉を利用する側としても、今さら「温泉とは」などと大仰に問うことは無いにせよ、「温泉を正しく知る」ことは、温泉を楽しむためにも重要なのではないだろうか。

 

立ち上がった温泉文化の守り主


「日本秘湯を守る会」(星雅彦会長=栃尾又温泉・自在館)は、代々受け継がれてきた灯(温泉)を絶やさないよう、志を同じにした全国の秘湯旅館が集い、精力的に活動している団体だ。自然の恵みである温泉を大切にして、温泉文化を後世に継承しようと日々努力を続けている。その多くが自家源泉を持ち、古くから伝わる入浴法を受け継ぎながら山あいに宿の明かりを灯し続けている。

そんな秘湯旅館の中でも、特に源泉掛け流しにこだわり、温泉を安全に安心して利用できることをめざして設立されたのが「日本源泉湯宿を守る会」(深沢守会長=奈良田温泉・白根館)だ。過剰な開発による資源枯渇を危惧し、泉源の保護に努めるとともに、適正利用の判断基準がないなら自ら作ってしまおうという強い信念を持った宿が集い、今では全国で44宿が会員だ。

ともすれば温泉の信頼性が失われかねない昨今、湯宿の主人自らが、温泉や温泉文化はもちろん、温泉療養の真髄を守っていこうと立ち上がる―これこそが、古来より伝わる「本物の温泉」の継承者であり、守り主といえるだろう。温泉好きを自称するならば、一度は訪ねて「本物の温泉」を味わい、主人の人柄に触れてみるのも良いかもしれない。
(構成=朝日旅行 旅と文化研究会)


写真:新潟県 栃尾又温泉【放射能泉】 自在館・霊泉「したの湯」


写真:山梨県 奈良田温泉【塩化物泉】 白根館・石造り露天風呂

温泉とは?
温泉法により「地中から湧出する温水、鉱水および水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く)」で、温度が25℃以上または溶存物質総量が1000㎎/㎏以上か、18ある溶存物質のどれか一つが規定値を超えているものと定められている。湧出量、温度、成分の三つを合わせて温泉の3要素とされるが、根拠の曖昧さや、医療効果について記述がなく、判断基準が曖昧だという指摘もある。そのため、「温泉」を名乗る施設の中には、「循環・濾過・減菌処理」した湯を使い回しているところもあるのが現状である。

 

温泉探訪10種の泉質を巡る

豊かな温泉資源に恵まれた日本。ふだん何気なく楽しんでいる温泉ですが、色や肌触り、匂いなどその種類はじつに様々。含有物質などにより大きく10種類の泉質に分類されています。この10種類の泉質すべてを巡るとともに、各地域の温泉文化や名湯古湯を楽しみながら10泉制覇を目指しましょう。

温泉探訪・10種の泉質を巡るシリーズはこちらより

首都圏発 / 関西発

 

2018年10月発行「総合パンフレット」に掲載しています。

パンフレットをご請求ください。(デジタルパンフレットもご覧いただけます)

※写真は首都圏版

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投稿:大阪発国内旅行担当