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機関誌「旅なかま」掲載記事など最新のトレンドがわかるブログ

旅のアクセント

2013年08月23日

ヨーロッパ音楽界の年末年始 特別寄稿 音楽学者 礒山 雅氏

〔本稿は会員誌『旅なかま』2013年9月号に掲載されたものです〕
ご新規のお客様には見本誌を無料でお送り致しますので、こちらのフォームからお申込みください。その際、「旅なかま9月号希望」とご記入下さい。なお、部数に限りがございますので、お早めにお申込みください。

礒山 雅氏「特別寄稿」ヨーロッパ音楽会の年末年始
礒山 雅氏「特別寄稿」ヨーロッパ音楽会の年末年始

一年を締めくくり、新しい歳を迎える年末年始。シーズン最中のヨーロッパの音楽シーンでも、この季節ならではのプログラムが組まれ、格別な彩を加えます。日本では、まとまった休みの取れる時期でもあり、本場で音楽を愉しむような旅行を楽しみされている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、音楽関係の評論や解説、また、コンサートの運営やプロデュースなど、現在の日本のクラシック音楽界の牽引役として活躍されている礒山雅氏に、『ヨーロッパ音楽界の年末年始』について寄稿いただきました。

音楽ツアーに参加されたあなたに、ベートーヴェン《第九》のチケットが提示されたとしよう。1枚は、12月31日のもの。もう1枚は、1月1日のものである。さあ、あなたはどちらのチケットを選ばれるだろうか。
日本人なら、ほぼ全員が12月31日を選ばれるのではなかろうか。《第九》は年末のもの、という通念が、われわれにできあがっているからである。1年の過ぎ去る空しさのたまってくる時期に、その澱を《第九》の炎とともに燃焼させる——それは確かによき音楽体験で、私も大晦日にフルトヴェングラー指揮の《第九》を聴くことを日課にしていた時期がある。

年末年始の華やかなイルミネーション ケルントナー通り(ウィーン)

それだけに、1月1日、ウィーンのコンツェルトハウスで《第九》を聴いたときには、何とも言えない違和感を覚えた。コンツェルトハウスでは、日本流の言い方をすれば大晦日と元旦に《第九》を演奏する伝統があり、その時もオーケストラは、大晦日に続いて《第九》を演奏したのだった。日本人にとっては、大晦日と元旦は別世界の時間であり、音楽を聴くスタンスは、まったく別のものになる。しかし現地の人々には、そうした意識はまるでないのである。
日本人は、年末年始に音楽を求めて、ヨーロッパに出かけていく。支援するツアーも、種々企画されている。それは何より、日本人が年末年始に、まとまった休日を恵まれるからである。ヨーロッパの主要国は元旦のみが休みで(イギリスは2日も休む)、大晦日を休日とするのは、ドイツと一部北欧諸国だけである。深夜に爆竹を鳴らすなど陽気な慣習こそ各地にあるが、基本的に元旦は平時の一祝日に過ぎず、ヨーロッパの人々は、クリスマス明けの稼働体制に入っている。
だがそれが、よいのである。音楽祭めぐりとならざるを得ない夏の旅行に比べ、年末年始の旅行では、本場の歌劇場やオーケストラの、ホームグラウンドにおける演奏に接する機会を恵まれる。昼が短いのが欠点だが、長い夜は音楽鑑賞に集中する環境ともなり、音楽会場は、どこも盛況である。音楽を文化伝統とともに享受するためには、やはりホームグラウンドを訪れて聴くのがいい。
元旦のコンサートとしてもっとも有名なのは、ウィーンの楽友協会大ホールにおける「ニューイヤー・コンサート」だろう。そのプログラムの骨格をなすのは、ご承知の通り、シュトラウス・ファミリーのワルツやポルカである。だがヨーロッパの人々は、暦が代わり人心が一新されたところで、満を持して《美しく青きドナウ》を聴くわけではない。新年の陽気な気分にウィンナ・ワルツはたしかに合うが、それは大晦日でも同じことである。近年めざましく増えた大晦日の「ジルヴェスター・コンサート」においても、ワルツ、ポルカ、オペレッタは、広く取り上げられる人気曲になっている。重厚長大を避け、洒落て軽く楽しむのが大晦日と元旦のコンサートの、おしなべての傾向である。

ウィーン・フィルニューイヤーコンサート(イメージ)

 こうした企画の広がりに日本人客の増加が一役買っていることは確かだと思うが、いずれにせよ各都市のオーケストラや歌劇場がエースを投入するようになって、年末のコンサートは百花繚乱の趣になった。ザクセンきっての文化都市、ドレスデンの国立歌劇場(ゼンパーオーパー)も、名門オーケストラ、シュターツカペレのジルヴェスター・コンサートを音楽監督のクリスティアン・ティーレマンで2日間開き、スター歌手のルネ・フレミングを招くという力の入れ方である。昨年はカールマーンのオペレッタが特集されていたが、おそらく今年も、親しみやすい作品が演奏されることだろう。
ベルリン・フィルも、サイモン・ラトルの指揮で3日間にわたる「プレ・ニューイヤー・コンサート」を開催するというのだから、すごい。プログラムは、ランランのソロによるベートーヴェンの第1ピアノ協奏曲の前後に、近現代の管弦楽舞曲を並べている。伝統のウィーンに対してオーケストラの性能で勝負しよう、という意気込みだろう。
教会暦で考えれば、新年は、クリスマスの季節に属する。たとえばバッハの《クリスマス・オラトリオ》全6部では、1月1日が、その第4部として登場する。ライプツィヒの聖トーマス教会では例年この日に、《クリスマス・オラトリオ》の第4部?第6部を演奏するコンサートが開かれる。
ドレスデン聖母教会の新年を飾るヘンデル《メサイア》は、現代的な軽い祝賀コンサートの流れというより、こうしたキリスト教の伝統につなげて考えるべきかもしれない。この教会はバッハがかつてオルガン・コンサートを開いたところで、近年修復され、宗教音楽やオルガン音楽のための貴重な空間として復活した。日本人が「お正月」に対して抱いている一種宗教的な気持ちに、このコンサートがフィットする可能性もあるように思う。

ドレスデン国立歌劇場管弦楽団 ガラコンサート(イメージ)
年末年始に音楽を愉しむツアーのご紹介です
12月28日発7日間

【ドイツ・感動のジルベスターコンサートへ】   598,000

ベルリン・フィルハーモニーホール ベルリンフィル《プレ・ニューイヤーコンサート》
マイセン焼工房 マイセン焼パイプオルガン《プライベートオルガンコンサート》
ドレスデンゼンパーオパー ドレスデン国立歌劇場管弦楽団《ジルベスターコンサート》
ドレスデン聖母教会(フラウエンキルヒェ)ヘンデル《メサイヤ》

ツアーの詳細はこちらからどうぞ。

12月29日発8日間

【グランドホテル滞在 ウィーンで迎える2014年】   768,000

楽友協会《ウィーン・フィル、ニューイヤー・コンサート》※オプション(別料金手配)
国立歌劇場での新年恒例公演オペレッタ『こうもり』

※詳細はお問い合わせください。

12月31日発8日間

【ウィーン滞在・ベートーヴェンの《第9》で迎えるお正月】   368,000

ウィーン・コンツェルトハウス ウィーン交響楽団演奏会ベートーヴェン《第9》
国立歌劇場での新年恒例公演オペレッタ『こうもり』かバレエ『くるみわり』※選択
フォルクスオパー ミュージカル『マイフェアレディー』※オプション(別料金手配)

♪詳しくはパンフレットをご請求ください♪

【首都圏発】ウィーン滞在・ベートーヴェンの《第9》で迎えるお正月 ※9月上旬発表予定

朝日カルチャーセンターご案内
来日公演特別企画 礒山 雅氏 講演会

投稿:朝日インタラクティブ