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機関誌「旅なかま」掲載記事など最新のトレンドがわかるブログ

旅のアクセント

2012年03月08日

旅なかま2012年3月号 対決! スペイン VS オーストリア 二つのハプスブルク

〔本稿は会員誌『旅なかま』2012年2月号に掲載されたものです〕
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鹿野(以下「鹿」):小林さんお久しぶりです! 前回はイタリア VS ドイツでしたけど、今回はスペイン VS オーストリアということで。サッカーでも断然スペインが強いんで、ハンディがあって申し訳ないですけれど、よろしくお願いします。

小林(以下「小」):よろしくおねがいします。ハプスブルク本家として負けてはいられません!そもそもハプスブルク家はスイスの田舎、ハピヒツブルクというところが発祥で…

鹿:あー、そこから話すと長くなるので、とりあえずお互いにオーストリア=ハプスブルクとスペイン=ハプスブルクを代表する気になる人物をひとりだけあげてみませんか?

小:そうですね、私はやっぱりマキシミリアン1世です。オーストリア=ハプスブルクは、皇帝フランツ=ヨーゼフ、マリア・テレジアなど有名人も色々いるんですけど、其の前にベースというか、ターニングポイントをつくったのが彼だと思っています。逢いたい人の一人です。

鹿:あのちょっと鷲鼻の…、インスブルクにいくと肖像画が残っている…

小:そうです!…ウィーンの「美術史美術館」にある、デューラーの肖像画が有名ですね。あの鷲鼻はハプスブルクのDNAです。「中世最後の騎士」と言われています。
 奥様とものすごく仲が良かった。ハプスブルクを代表するおしどり夫婦の一組です。
 この奥様、つまりブルゴーニュ公国のマリーと結婚したことによって、東方の辺境だったオーストリアは、洗練された西ヨーロッパの、当時の先進文化を学ぶのです。彼は自叙伝「白王伝」で、マリーと結婚したことによって、いかに自分が影響を受けたか、随分書いています。フランス語も全然できなかったのにできるようになったし、オーストリアには未だなかった、律法とか裁判制度なども、取り入れました。後にハプスブルクが領土を広げ、多言語を学び、多種多様な文化を共有するという下地、DNAをつくったのは、たぶんこのマキシミリアンが愛妻家だったからだと思うんです。素敵ですよね♡

鹿:戦争ではなく結婚で領土を広げるというハプスブルク流はこの時から始まったという事ですか。

小:意図していたかはわかりませんが、きっかけを作ったのはマキシミリアンですよね。

鹿:なるほどね。私は名君というより、その人間性に興味があって、スペインが「太陽の沈まぬ帝国」といわれ、一方で没落の始まりともなった時代の国王フェリペ2世を挙げたい。清く正しい小林さんは、一途な愛妻家マキシミリアンがお好きだというのはよくわかりますが、フェリペ2世は生涯4度も結婚し、有名なイングランド女王で11歳も年上のメアリーチューダーとか、息子の許婚とか、最後は妹の娘と結婚するという今では考えられない経歴の持ち主です。

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 この人の父上であるカール5世は、当時ヨーロッパで最も力のあった王様で、神聖ローマ皇帝であり、スペイン国王でもあり、「カルロスV(キント)」として人々から敬われ、「君主の中の君主」と言われましたが、息子は正反対の性格。スペイン人というと朗らかで陽気なイメージがありますが、この人のあだなは、「慎重王」とか「無口で社会性にかける君主」「頑固なカトリック至上主義」とか、あまり芳しくなく、君主としてはあまり魅力的でなかったと後世伝えられています。
 フェリペ2世後も血統や宗教上の問題から、限られた中での結婚を繰り返したので、どんどん血が濃くなって…それもハプスブルク家が途絶える要因になったようです。スペイン=ハプスブルク時代は短いけど、幸運にもこの時代は新大陸が発見され、黙っていても金銀財宝が流入してきたわけです。残念ながら、それを蓄積することなくザルで水をすくうように他国への流れてしまった。スペインの頂点と凋落の始まりを体現した王様でした。

小:没落の始まりがお好きだなんて、鹿野さんらしいですね…

鹿:はい、実はそんなことで本家と分家に分かれたハプスブルクなんですが、場所的に西のはずれと東のはずれにあるだけでなくて、何もかも対照的ですから、ここから本当の対決として、独断と偏見で話してみましょう。
 …ハプスブルク家は芸術の庇護者でもありましたので、芸術面においてヨーロッパの中でも、超一級のものがあると思うんです。ただ、最初に言っておくけど音楽は負けました。

小:音楽はそうですね!

鹿:一言「モーツァルト!」っていわれたら、対抗する人はいませんし…

小:いませんね…

鹿:まあ負けたこと認めてるんですが、ファリャとかパブロカザルスとか、「アルハンブラの想い出」を作曲したロドリーゴとか…

小:頑張らなくて結構ですから…。こちらはモーツァルトの他にもシューベルトにシュトラウス一家、ハイドン…。

鹿:どんどん負けますので次の話題で…
 美術はどうですか。これはちょっと、いくつかの点でスペインだと思っています。
 スペインの三大巨匠、グレコ・ベラスケス・ゴヤ。「オーストリア三大巨匠」っているんでしょうか。

小:グレコはギリシャ人じゃないですか!まあ、でも残念ながら、日本人に馴染みのあるのはいわゆる”世紀末の”クリムトやココシュカくらいですかね。あとはフンデルトヴァッサーとか(笑)

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鹿:笑…。でも、プラド美術館に匹敵するウィーンの美術史美術館は、圧巻ですね。

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 じゃ、最後の切り札、食の話にしましょうかね。

小:どういう意味で切り札なのか、今ひとつわからないんですけど…(笑)

鹿:日本でもスペイン料理が受けてるでしょう。ピンチョスとかタパスとか、スペインのつまみなんだけど量的に日本人のメインとしてちょうどいい。食材が豊富で、海も山も野菜も多くて、アラブ文化の影響でお米料理もあるし、オーストリアという内陸国に比べたら多彩だよね。

小:オーストリアも様々な国や地域の食事をとりいれていて、多彩なんですよ。食に限らずハプスブルクは、自分が統治している地域の中の「最高のもの」をきちんと選んで、それを洗練させるんです。なので東欧諸国はもちろんバルカンも含めて、一番美味しいものを選んで、それを発展させたのがウィーン料理です。
 それからお菓子は絶対にオーストリアですね。スペインはなんであんなに美味しくないんでしょうね、甘いものが。

鹿:メインがおいしいから、デザートはどうでもいいんですよ。はっきり言って。あれだけのボリュームですから、食後はオレンジ丸々一個で十分です。もしかして、デザートがいいっていうのはメインが乏しいということではないですか?

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小:オーストリアだってメインおいしいですよ、宮廷料理ですから。ターフェルシュピッツとかご存知ないですか?

鹿:獰猛なワンちゃんみたいな名前の料理なんて言っちゃったら、倍ぐらい攻撃されそうですが、またまた誌面がたりなくなってしまいますね。…
 まあ、言い尽くせぬスペインの魅力をわかっていただくのにはとにかく訪れていただくことです。スペインは大きい国ですよ。実際に、何回かに分けて訪問しなければいけないですよね。その点オーストリアは、一回の旅でほとんど回れますよね。

小:確かにオーストリアは小さな国です。けれど、ハイキングコースもたくさんあるし、そもそもウィーン一都市滞在だけで一週間じゃ足りないくらいですよ!ハプスブルクの栄華が散りばめられた洗練された都。治安もいいし水道水はアルプスの水だから美味しく飲めるし、居心地がいいんです。

鹿:私がスペインで滞在するならバルセロナですね。街としては何となく新しい感じですが、今から100年も前にガウディを始めとした芸術家が街を飾って、それがなんとも心地よいです。一世紀も前にそんなことができたこの町のキャパシティに感心するばかりです。

小:ちょっと待ってください!バルセロナはスペインじゃなくてカタルーニャですよ!特殊な街じゃないですか…それにあまりハプスブルクは関係ないですよね?

鹿:スペインはハプスブルクだけじゃなくて、イスラムとか様々な文化の融合で魅せる国ですから!スペインの街はどこも一筋縄ではいかない厚みを感じますよね!

小:えーっ?あんなにたくさんハプスブルクの話をさせていただいてたのに〜〜!!

結局、ハプスブルクをはずれてまた延々と話しは尽きないのでした…それでも、両国の栄光の時代はハプスブルク家なしには語れません。この二つの国を訪れる時は、少し下調べをして行くとより楽しむことができそうです!

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投稿:朝日インタラクティブ