出発地を選択してください。出発地はいつでも変更できます。
出発地を選択してください。
×
MENU

機関誌「旅なかま」掲載記事など最新のトレンドがわかるブログ

旅のアクセント

2018年08月01日

旅なかまVol.294 至高の絵画に包まれる歓び -ウフィツィ美術館貸切り見学-

〔本稿は会員誌『旅なかま』2018年Vol.294に掲載されたものです〕
ご新規のお客様には見本誌を無料でお送り致しますので、こちらのフォームからお申込みください。その際、「旅なかまVol.294希望」とご記入下さい。なお、部数に限りがございますので、お早めにお申込みください。

至高の絵画に包まれる歓び-ウフィツィ美術館貸切り見学-明治学院大学講師 塚本 博

ボッティチェリ作「プリマヴェーラ(春)」 ©️Wikimedia Commons

中世美術から近世美術を体現したウフィツィ美術館

フィレンツェのアルノ河近くに建つウフィツィ美術館は、イタリア・ルネサンス絵画の殿堂として世界に名高いが、その起源は16世紀に遡り、行政事務局の入ったメディチ家の邸館であった。その後、フランチェスコ1世やレオポルド公の美術遺産、またコジモ3世の絵画収集などを加え、徐々に優れた美術品が蓄積されて美術館へと変貌する。初期の展示では古代彫刻が重視されたが、近代になってルネサンス絵画の評価が飛躍的に高まり、ボッティチェリの「プリマヴェーラ(春)」や「ヴィーナスの誕生」がウフィツィ美術館の花冠のように飾られるようになった。今日ではつねに玄関前に朝から行列ができるほど、これらの薫り高い名画は世界中の人々を魅了し、注目を集めている。
イタリア・ルネサンス絵画は、宗教的な主題である聖母マリアや幼児キリストがその聖なる存在であることを示しながらも、人間主義の時代精神を反映して現世的なあるがままの人間的姿を情感豊かに描き出している。それが発展至高の絵画に包まれる歓び-ウフィツィ美術館貸切り見学-明治学院大学講師 塚本 博して古代の復興と重なったとき、ギリシア神話のヴィーナスという魅惑的な女神が登場する。この宗教画から神話画が派生する様相に、滔々と流れる西洋美術史が新時代へと屈曲していく意義深い姿が浮かんでくるだろう。この意味でウフィツィ美術館は、中世美術が近世美術へと大きく転換する美術史そのものを体現した奇跡の小宇宙と言える。
これだけの重要な美術館であるからこそ、世界中から人が押し寄せるのであるが、その群衆によって名画は観客の頭越しにしか見えず、またダ・ヴィンチやラファエロの名作の前でしばらく熟視していたいと思いながらも、次々に訪れる人波に流されてしまう。頭の中でその絵画の意義を十分理解していながら、現場の雰囲気は人混みに呑まれ、作品が放つ芸術的香気はいつしか消え去っている。これらの至高の絵画を、その芸術的意義に相応しいかたちで穏やかに鑑賞することは現代において不可能なのだろうか。
海外美術ツアーに長い実績を持つ朝日旅行は、2019年春3月、これらの要望に応えるべくウフィツィ美術館貸切り見学を企画している。世界各国からの見学者のいない月曜日午後に特別な時間帯を設定して、ツアー参加者のみで名画を鑑賞する。事前にフィレンツェにおいて、私のルネサンス美術についてのレクチャーも予定されている。ときあたかもレオナルド・ダ・ヴィンチ没後500年という記念の年にあたり、「キリスト洗礼」「受胎告知」、そして修復が終わったばかりの「東方三博士の礼拝」など傑作が並ぶ。

ウフィツィ美術館内

294-04

カラヴァッジョ作「メドゥーサ」

来年、没後500年を迎え、ダ・ヴィンチ3点を鑑賞

トスカーナのヴィンチ村に生まれたレオナルドは、青年期にフィレンツェでヴェロッキオ工房に入門した。その師匠と若き天才の共作が「キリスト洗礼」である。やがて独立した青年画家は、「受胎告知」を描き、風景と宗教主題の融合を図る。大型の「東方三博士の礼拝」は未完成に終わったが、その画面の中には神の子の顕現、精密な透視図法、馬上の戦士たちなど、若き巨匠の構想が発露している。
ウフィツィ美術館の3点とルーヴル美術館の4点によって、万能の天才ダ・ヴィンチによる世界の再創造を跡付けることができるだろう。

拡張し、充実した2階の展示スペース

従来ウフィツィ美術館は、3階にほとんどの絵画を展示していたが、近年は2階に展示スペースを拡張している。具体的には、まず3階でルネサンス絵画を先導するチマブーエやジョットの大型の祭壇画から始まり、15世紀のマザッチョ、ウッチェロ、フラ・アンジェリコに出会う。
次にフィリッポ・リッピの華麗な聖母子がボッティチェリの世界を予告する。ボッティチェリによる2点のヴィーナス作品は、メディチ家の邸宅を飾っていた名画であり、貸切り見学で初めて見学者は至高の絵画に包まれる歓びを実感するだろう。芸術作品が時を超え、観る者をルネサンスの空間へと誘ってくれる。ひと時の夢のような体験である。
盛期ルネサンスとヴェネツィア絵画は、ほとんどが2階で見られる。ティツィアーノの「ウルビーノのヴィーナス」は香り立つような名品であり、本家のヴェネツィアの美術館にもこれほど光彩を放つ美神はいない。形態を重視するフィレンツェ絵画と色彩がきらめくヴェネツィア絵画を名作によって比較できるのも、ウフィツィ美術館ならではの趣向である。さらにそこに「ひわの聖母」を筆頭に3大巨匠のひとり、ラファエロの名画が観る者を魅了する。青年画家ラファエロは、この地フィレンツェにおいてダ・ヴィンチの影響の下に、優美なる聖母子を描いたのである。盛期ルネサンスに続いて美術の潮流はマニエリスムへと向かい、やがてカラヴァッジョのバロック時代が到来する。2階の展示室では近年、この時代様式の絵画が充実して、明暗対照のカラヴァッジョ絵画がいかに多くの後代作家に深く浸透したかを実感するだろう。こうして西洋美術の小宇宙は、万華鏡のごとく数々の名画を照らし出し、見学者のいる空間を包み込む。ウフィツィ美術館の貸切り見学で、その芸術体験は何ものにも代えられない歓びとなることだろう。
※特に明記されていない写真は塚本博氏提供です。

ヴェロッキオとレオナルドの作
「キリスト洗礼」

ティツィアーノ作「ウルビーノのヴィーナス」の前で
©︎AST

ウフィツィ美術館からの眺め
©︎AST

来年3月の「ウフィツィ美術館貸切見学ツアー」発表を記念して、記念講演会を開催いたします。

詳細はこちらからどうぞ!

ウフィッツィ美術館貸切見学ツアー ラインナップはこちらからどうぞ!

投稿:首都圏発海外旅行担当