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機関誌「旅なかま」掲載記事など最新のトレンドがわかるブログ

旅のアクセント

2018年12月28日

旅のサイドストーリー ~旅人の心に添う 秘湯は人なり~ 第7回 星雅彦さん(栃尾又温泉・自在館)≪後編≫

≪湯治場の宿 四百年 後編≫

栃尾又温泉 自在館(新潟県魚沼市)

星 雅彦(ほし まさひこ)さん

25代目として跡を継いだ若き宿主に訪れた経営難。山の温泉宿が進むべき道を照らしてくれたのは……。現「秘湯を守る会」会長の星雅彦さん後編です。

宿に戻って跡を継ぎ、5、6年経った頃、お客さんが次第に減ってきました。健康ランドのような日帰り温泉施設が新潟にも激増したのです。改造後の維持費もかさみ、宿の経営状況が悪化、破綻も視野に入りつつありました。

自在館は、昭和57年頃に「日本秘湯を守る会」に入会していたのですが、会合には先代が出席していたため、私が顔を出すようになったのは平成7年からです。最初は身内の集まりのような雰囲気に驚きました。ところが参加を続け、みなさんと親戚のような付き合いをしたことで、山の宿が社会の中で存続する意味を学んでいく機会となりました。

栃尾又温泉・自在館 提供:自在館

会合の後に酒を酌み交わしながら、強烈な個性の先輩方から聞く人生訓や哲学が楽しみになってきました。秘湯といっても規模やお湯、方向性がそれぞれ全く違い、一つとして同じものは無いということに気付かされました。

宿に帰り、お客様が持参される秘湯のスタンプ帳に押印する時、他の宿のご主人や女将さんの顔が思い浮かび、迷惑をかけないように自分の宿も頑張らなければ、と緊張感も覚えたものです。

星 雅彦さん

一汁四菜の定食

そして、古くから人々は、人肌ほどのぬるい栃尾又の温泉に長時間浸かって療養し、元気になって農作業に戻っていったのであり、その温泉に寄り添って何百年も生活してきたのが私たちだと意識するようになりました。

宿の都合で温泉を変えるのではなく、栃尾又の温泉が宿の規模や運営方法を決めるのだ、という考えに至りました。

運営が立ちいかなくなった共同浴場の形態を変更し、宿を昔ながらの湯治場の雰囲気に再改造しました。5年前からは次世代の若手も宿の運営に加わり、2種類出していた食事のうち豪華な懐石料理をやめ、地元の食材が中心の湯治用の定食だけにしました。静かに心身を癒してもらえるように、思い切って「館内ではお静かに」「全面禁煙」等といったお願いをすることにしました。こうした館内や部屋のご案内文は、宿のスタッフで心を込めて書きました。

「旅人の心に灯をともす宿でありたい」を掲げて再出発した自在館は、昔からの湯治のお客様に加え、おかげ様でそのテーマに共感して、静けさや癒しを求めるお客様も集まるようになりました。湯治宿であるため、お一人様での宿泊も多いです。

規模や湯質が違っても志は同じ。「秘湯を守る会」との出会いが、今の自在館をつくったと言っても過言ではありません。

(取材・構成 朝日旅行/旅と文化研究会)

次回 第8回 深沢守さん(奈良田温泉・白根館)≫

前回 第6回 星雅彦さん(栃尾又温泉・自在館)≪前編≫ ≫

 

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投稿:首都圏発国内旅行担当