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機関誌「旅なかま」掲載記事など最新のトレンドがわかるブログ

旅のアクセント

2019年01月15日

旅のサイドストーリー ~旅人の心に添う 秘湯は人なり~ 第10回 平瀬定雄さん(鹿塩温泉・湯元山塩館)

≪サラリーマン、秘湯の宿を継ぐ≫

鹿塩(かしお)温泉・湯元山塩館(長野県下伊那郡大鹿村)

平瀬 定雄(ひらせ さだお)さん

都会のサラリーマンだった平瀬さんは、結婚の縁で南アルプス山中にある秘湯の宿に入りましたが、そこには価値観が覆されるような世界が待っていました。

この湯元山塩館に携わる以前、私は宿とはゆかりの無いサラリーマンでした。給料や将来のこともあって大手の化学工業企業で働いていましたが、一方で人情溢れる足立区で生まれ育った私は、人に深く関わるサービス業をやってみたい、と以前から心の中で思っていました。そんな時に知り合った彼女の実家が湯元山塩館でした。私は思い切って会社を退職し、婿入りして宿の跡取りを目指すことにしました。

平瀬 定雄さん

鹿塩温泉 湯元山塩館

私の宿、湯元山塩館は、南アルプス・塩見岳の麓、長野県大鹿村、鹿塩(かしお)温泉にあります。地名が表しているように、内陸にあって塩泉が湧き、南北朝時代には、宗良親王が塩水を汲みに来たという記録も残されています。明治24年の開湯以来、家内の実家・平瀬家が温泉宿を担ってきました。日本秘湯を守る会には創立時に入会しています。

宿に入って義父の見習いとして修行をしながら実感したことですが、お客さんはこんなにも山奥にあり、決して豪華ではないこの宿にわざわざ来て、板長もおらず、家族総出で作った素朴な田舎料理を食べ、喜んで帰っていくのです。こういう世界があるものなのか、と驚かされました。昭和40年代生まれ、バブル世代真っ只中の私。旅館といえば豪華なイメージをそれまでは持っていましたが、その価値観は大きく揺らぎました。

大鹿村の天然石に囲まれて四季を楽しむ「岩の湯」

また秘湯の会の次世代研修会に出席するようになりましたが、それぞれの宿の若い担い手が、苦労しながら地域の宿を守ろうとしている姿にも触発されました。塩泉を有する自然環境の中で、人々が伝統文化を育んできた大鹿村とは何か、それを湯元山塩館で訪れる人に伝えていきたいと考えるようになりました。

ちょうどそんな時でした。明治39年から専売法で中断されていた民間の製塩が、平成9年に規制緩和されました。この機会に義父と私は小さな製塩所を宿の隣に復活させました。ここだけにしかない自然の恵みの山塩を、昔からの薪炊きの製法で作り、宿の看板にしました。冷奴やジビエ鹿肉料理にも山塩を使うようにし、おかげさまで今ではすっかりと宿の代名詞にもなりました。

今は宿の部屋を14部屋から10部屋へ改築することを予定しています。泊まる人にもっと深く、関わりたいと思うのです。

 

お豆腐、ジビエ鹿肉料理も、山塩でいただくのが湯元山塩館流

サラリーマンを辞めて25 年、すっかり村人になりましたが、いまだに肌で感じる空気感は新鮮な驚きです。宿の製塩所の煙突の煙の粒子が、冬の朝焼けにキラキラと輝く様子は言い表せない美しさです。

(取材・構成 朝日旅行/旅と文化研究会)

次回 第11回 遠藤哲也さん(姥湯温泉・桝形屋)≫

前回 第9回 後藤英男さん(高峰温泉)≫

 

 

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投稿:首都圏発国内旅行担当