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機関誌「旅なかま」掲載記事など最新のトレンドがわかるブログ

旅のアクセント

2013年07月26日

江藤 詩文の世界食べある記 vol.3

〔本稿は会員誌『旅なかま』2013年8月号に掲載されたものです〕
ご新規のお客様には見本誌を無料でお送り致しますので、こちらのフォームからお申込みください。その際、「旅なかま8月号希望」とご記入下さい。なお、部数に限りがございますので、お早めにお申込みください。

激甘男子スイーツinトルコ

「イスタンブルで自由時間があるのだけど、何をしたらよいかしら」。
国土が日本の約2倍と広く、世界遺産を含めて見どころを効率よく周遊したいトルコの旅は、パッケージツアーに参加する人も多いですよね。貴重なフリータイムを何に当てるべきか。そう問われるたび、迷わず「食い倒れ」を薦めます。
なぜってトルコ料理は西洋のフランス料理、東洋の中国料理と並ぶ世界三大料理のひとつ。オスマン帝国の栄華をものがたる、宮廷料理から発展した、イスラム文化を代表する料理なのですから。

めくるめくトルコ料理の世界

日本料理を、研ぎ澄まされた素材の味を引き出す料理としたら、トルコ料理は、丹念に味を重ねてふくらませていく料理というのが私の印象です。たとえば、日本でもおなじみのケバブ(焼き肉)。牛肉なら、日本ではさっと炙って上質な塩をぱらりと降りたいところ。ところがトルコでは、羊の脂を塗って独特の豊かな香りを加えたり、複数のスパイスでリッチな奥行きを出したり。そこに何種類もの野菜を取り合わせて、苦味や酸味をさらにブレンドし、彩りや食感をプラスしていきます。
その緻密に練り上げられた味わいは、まるでモスクで見るイスラム美術のアラベスクさながら。さすが、手の込んだ幾何学模様で空間をすき間なくびっしりと埋め尽くす文化だわ。トルコの人って、なんて繊細で精巧な味覚を持っているんだろう。そう思わされること請け合いです。
そのうえトルコは、世界有数の農業国。生で、茹でて、焼いて、煮て、蒸して、浸して、揚げて、干して。野菜や果物をふんだんに用いたカラフルな料理は、枚挙にいとまがありません。チーズやヨーグルトといった発酵食品も毎食欠かさずに食べるし、塩分は控えめで、風味をつけるのは柑橘類。油はオリーブオイル。魚もよく食べる。なんてヘルシーで豊かな食文化なのでしょう。

のびるアイスクリーム“ドンドルマ” 中には甘いピスタチオのペーストが

クセになる甘さの伝統菓子

トルココーヒーは器も素敵

ああ、それなのに。なぜか伝統菓子には、その類稀なる構成力が応用されていないように思うのです。バザール(市場)や旧市街で見かけた、もっともオーソドックスなスイーツといえば。ハトロン紙のように薄い小麦粉の生地を重ねたパイにシロップをかけたもの。小麦粉の極細麺を巻きつけて焼くか揚げるかしてシロップをなじませたもの。小麦粉と粗挽きのセモリナ粉を混ぜたほろほろと崩れる生地をシロップに浸したもの……。生のピスタチオなどナッツ類を砕いたものを挟むなど、バリエーションはさまざまですが、基本は「小麦粉+強烈に甘いシロップ」の組み合わせ。
広場に置かれた簡易テーブルで、石畳に並んだ折り畳みのいすで、ひっそりと薄暗い茶店の奥で。この究極に甘いお菓子を嬉しげにほおばっているのは、男性ばかり。最近でこそ日本でも、甘いものを好む男性を?スイーツ男子?などと称して注目されていますが、ここでは老いも若きもみんながスイーツ男子です。
この明快で見るからに高カロリーな味の成り立ちが、男性好みの?男子スイーツ?たる由縁かしら。そう思っていたのに、何度か食べるうちに、女性までもがいつの間にかとりこになっているからおそろしい。チャイ(紅茶)とお菓子の食べ合わせを、エンドレスに繰り返してしまうのです。
トルコのスイーツは単純なのに魅惑的で、一度嵌まるとしばらく抜け出せません。みなさま、くれぐれもご用心あれ。

撮影:江藤詩文

江藤詩文 その土地の風土や人に育まれた食、歴史に裏打ちされた文化を体感するなど知的好奇心を刺激するラグジュアリーな旅のスタイルを提案する。現在朝日新聞デジタル&Wに「世界美食紀行」、msn産経ニュースほかに「江藤詩文の世界ゆるり鉄道の旅」を連載中。

◆関連ツアー◆
[首都圏発]連泊でめぐる絶景トルコ10日間 ※9月初旬発表予定

投稿:朝日インタラクティブ