出発地を選択してください。出発地はいつでも変更できます。
出発地を選択してください。
×
MENU

機関誌「旅なかま」掲載記事など最新のトレンドがわかるブログ

旅のアクセント

2019年07月10日

【第1回】美の旅コラム

 

《我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか》



 

各地の美術館や教会を舞台に、美術、宗教、先端技術が衝撃的に交錯しながら展開するダン・ブラウンの小説。彼の最新作『オリジン』の中で、大きなキーワードとなっているのが、「われわれはどこから来たのか、われわれはどこへ行くのか」です。

このことばから想起されるのが、画家ポール・ゴーギャン(1848-1903)の大作につけられたタイトル「我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか」でしょう。これは、ゴーギャン晩年の、自殺を考えるほどの人生どん底のなかで生み出された作品で、長く意味深なタイトルはゴーギャンの苦悩そのものです。

若い頃からコペンハーゲン、パナマ、ポン・タヴァンなどを転々としたゴーギャンは、成功できないまま、ゴッホの招きに応じてアルルへと向かいました。しかし、2人の関係はこじれ、「耳切り事件」終了しました。その2年半後の1891年には、楽園と信じたタヒチへと渡ったゴーギャンでしたが、やはり思うようにはいかず、2年後に一旦帰国。しかし、パリでも仕事も人生もうまくいかず、1895年にタヒチへと戻りました。2年後には最愛の娘の死の知らせが届き、自身の健康状態も悪化。そんな絶望状態で着手したのがこの作品でした。

作品は、右から左にかけて3場面から構成されています。右側の赤子と家族は「人生の始まり」を、中央の果実を取る人物は「成年期」を、左側の年老いた老婆は「人間の死」を表しています。この作品は1898年に完成しましたが、ゴーギャンは服毒自殺を図る(未遂に終わる)など、絶望の淵から這い上がることはできませんでした。1901年にはタヒチの北東約1500kmに位置するマルキーズ諸島(マルケサス諸島)ヒバ・オア島に渡り、制作を続けましたが、何も好転しないまま、1903年、54歳で没しました。

この作品は、1936年以来ボストン美術館に展示されています。小説『オリジン』では、バルセロナのカサ・ミラ最上階で暮らすコンピュータ科学者エドモンド・カーシュが自宅玄関にこの絵(もちろん本物!)を飾っています。この度肝を抜くような設定が小説と言えども衝撃的です。そして、カサ・ミラで暮らすエドモンド・カーシュガウディの崇拝者で、サグラダ・ファミリア聖堂が小説の舞台となっています。他にも、ビルバオのグッゲンハイム美術館、マドリード近郊のカイドスの谷などが登場します。また、あまり注目していなかった画家の作品なども登場しますので、美術にご興味のある方には、気楽にお読みいただきたい一冊です。

 

【関連ツアー】

ゴーギャンの大作が置かれるボストン美術館へはこちらから>>>>

スペインでの美術鑑賞はこちらから>>>>

バルセロナへはこちらから>>>>

 

 

投稿:WEB管理担当